藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

~た

            



 ~た
 「~た」は「過去」を表す。さらに「完了」もあらわす。「命令」の意味を表すこともある。
     具体例
    昨日、山田さんに会った。  過去の意味
   東京に行ったら、高田さんによろしく伝えてください。  完了の意味
    のこった! のこった!     命令の意味


  完了の意味は過去とは限らない。上例でも「東京に行く」のは未来のことである。
そのほか、「わかった、わかった。もういいよ」という場合の「た」など、やはりモダリティの「た」である。
 今までの文法では、日本語のモダリティについてあまり教えてこなかったが、日本語はモダリティ=話者の心的態度が文法化(表現としてあらわされること)されることが顕著な言語です。
 今まで、日本語のモダリティの側面があまり教えて来られなかったのは、英語の規範を単純に日本語にあてはめてきたからである。それでは日本語の特徴が見えてこない。主語にしても自動詞/他動詞にしても英語の特徴からしか研究がなされてこなかったのである。そのことは文化についても云えることであろう。
 英語では自分の思っていることを言葉で表さないと相手に通じないが、日本語では「以心伝心」という言葉もあるし、自分の思いをすべて言葉で表すのは息が詰まるような思いがする。言葉は言 こと の葉、端 は。それも云われて久しい。モダリティを前面に出した体系的な日本語の説明が必要とされている。


                        2023.6.7  水曜日

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