第一章 研究課題―日本 では、日本人に関してこの七五年来、書かれた記述には「世界のどの国民についてもかつて用いられたことのないほど奇怪至極な「しかしまた」の連発が見られる」(四二)ことが最初に述べられている。曰く、日本人は礼儀正しいと同時に、「しかしまた」不遜で尊大である、固陋(ころう)であると同時に「しかしまた」どんな新奇な事柄にも容易に順応する、忠実で寛容であると同時に「しかしまた」…
『菊と刀』の全体的構成について 今回からは、『菊と刀』の再考察、内省的な再考察に移りたいと思う。 『菊と刀』の「菊」とは日本の精緻な階層制度を、「刀」については侵害された「名誉」を 回復するための手段の象徴として「刀」を取り上げているというのが゛、一般的な解釈であろう。日本人は、生命よりも「名誉」(返済不可能な義務を果たすために天皇や親のために死ぬこと。孝より忠が重んじられ…