藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

京都地名語源辞典      2024.4.17  水


      京都地名語源辞典
 2013年に吉田金彦等編『京都地名語源辞典』東京堂出版が出版されている。吉田金彦先生を紹介してくださったのは、中国語の先生の伊地智善継先生だったと記憶する。中国語が専門だったのにわたしが日本語に興味を持って日本語を教えていると知ったら、伊地智先生は吉田金彦先生を紹介してくださった。吉田先生からは『動物語源辞典』の100ぐらいの項目の下原稿の作成を依頼された。10人ぐらいが同様に依頼されたと記憶している。のちに東京堂出版から『動物語源辞典』は出版された。執筆協力者として当方の名前は記されている。
 調べた中では、「ホオジロザメ」の語源が最後まで分からなかった。「ホオジロ」という小鳥は「頬が白い」から「ホオジロ」という。そのままである。面白くもなんともない。しかし、「ホオジロザメ」は「頬が白い」わけではない。吉田先生は「頬か゛しろし(=しるし。特徴的。)」だからだと言われた。このことは「おもしろい」の語源にも関係し、「面白い」は「おも」=面が「しろい」=特徴的、はっきりする から「こころが晴れやかにはっきり、すっきりとする」→「おもしろい」となる。これは通説である。
 語源研究は様々ないきさつでやめてしまった(仕切りたがるイデオロギー政党系の事務局長がいて、多くの理事が辞めた。意に沿わない人間をやめさせたりするのは、政治系の人間はうまいらしい。)が、今回、『京都地名語源辞典』を偶然、図書館で見つけて通読したが、語源というより、由来が書いてある辞典で、過去の『京都坊目誌』などの記述をまとめてあるという感じが強い。そういうのは面白味に欠ける。
 語源研究は大学の研究になじまない。語源説は一つに限るのが難しいので「真理は一つ」という大学の西洋流価値観になじまないことが大きな理由の一つにあるだろう。大学の専門は過去からの専門の踏襲が多い。日本の大学学問はほとんど西洋の大学流学問をまねてできたものである。学問も過去からの習慣や権威、権力と関係が深い。名誉や金と縁のない研究者のほうが多い。そうした研究があって、世の中はすそ野の教養が充実したものとなっているのではないか。
 分析より総合を中心とする比較文化学はまだ注目されていない。磯田直史という日文研の教授は大した学者である。「総合的」に日本の歴史を研究している。師は歴史人口学の速水融である。わかる人はわかっている。そういう自由な学問が伸びてほしい。


                           2024.4.17    水曜日

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