藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

2023.3.24 京都新聞 夕刊 現代のことば 「多謝!」  茂山千之丞

   

    2023.3.24 京都新聞 夕刊 現代のことば 「多謝!」  茂山千之丞
      内容概要
 ボブ・ディランの曲が大好きな茂山千之丞さん。その一番の理由はボブ・ディランはブルース、フォーク、カントリーなどアメリカの古いジャンルから影響を受けている「伝統芸能の人」だからだ。先人の膨大なリソースを拝借し、風雪に耐えてきたものを効果的に使うほうが個性的な作品を生み出せると思うと言う。
 芸術は模倣や借用の文化である。昨今は芸術作品の著作権問題や盗作問題について非常に厳しい時代であるが、敬意と愛情をもって過去の名作を模倣することも許されないことが、どれだけ文化の発展の妨げになってしまっていることかと言う。


  ノート
 茂山千之丞氏は大蔵流狂言師。開き直っている。実際、古典芸術は内容をよく知って、それがどのように演じられるかが芸の見せ所である。能にしろ狂言にしろ歌舞伎にしろそうである。茂山千之丞師の言うことは正しい。
 著作権や盗作問題は、私有財産の保護と関係が深い。著作権を私有財産と考え、盗作を私有財産の侵害と考えるのである。それは近代の「常識」にすぎない。さらに言えば、欧米の「常識」だ。
 東洋では、古典のアンソロジー(集めて一つにしたもの)は盗作とはみなされない。むしろみんなが真似てくれるのはそれだけ有名だからだ、真似られるのは有名税のようなものだと考える。
 理系でも篤志家は特許をとらないで一般に開放する人もいる。くまモンが流行ったのも製作者が特許をとらず、自由にくまモンを使えたからだ。 
 こういうことを考えたほうがいい。すべて欧米に合わせる必要はないのである。
 エイプリル・フールの真面目な話でした。


                          2023.4.1     土曜日
 













                           2023.4.1   土曜日

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