藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

 2019『アルキメデスの大戦』山崎貴監督      2023.12.15

   

   2019『アルキメデスの大戦』山崎貴監督 
 12月5日  夜、BS12で『アルキメデスの大戦』を放送していた。山崎貴監督のVFXが冴える。戦艦大和がリアルに迫ってくる。浜辺美波嬢の可憐な演技が花を添えている。
 海軍内の航空母艦建設派の山本五十六と大母艦建設派の確執を数字の面からどちらが正しいのか明らかにするという内容だが、面白いのは大母艦建設派が戦艦大和のような世界一の戦艦を作れば、アメリカおよび世界はその巨大戦艦に恐れをなして、ひれ伏して、戦意喪失すると考えていることだった。
 似たような考えは、アメリカ文化に対する当時の軍部にもあり、当時の軍部は、昼から男女がダンスを踊るような軟弱なアメリカは、日本が真珠湾攻撃を行えば、すぐに早期講和を言い出して来るに決まっていると思い込んでいた。
 さらに、当時破竹の勢いだったドイツについていけばいいという考えを持ち、日独伊三国防共協定を結ぶという愚策を日本の政治家、軍人は採った。日本はいつでも一番の国についていくと批判したのは、『文明の衝突』の故ハンチントンである。
 日本人の根底には、「神の国」日本は、負けるはずがなく、天皇を崇拝していれば、戦争は必ず勝つと現人神、天皇を盲信していたという事実があった。日本人はムーディーである。
 靖国神社を始めとする国家神道はもっと批判されてしかるべきである。日本人は、国家神道の弊害をないがしろにしすぎである。神道系の中の国家神道系は、それこそ政教一致(政治が特定宗教を優遇する)である。政治が特定宗教を優遇したかつての戦前を再現させてはならない。日本会議も大問題だ。成長の家が深く関与しているのは、青木理氏の取材、本で明らかである。すべての宗教を否定するわけではない。西洋のキリスト教民主党の例もある。支持がなくなれば宗教政党は衰微していく。大切なのは理屈だけで世の中は動いていないということ。そして過去の過ちは改めるべきであるということ。日本人はそのことがわかっているだろうか。


                            2023.12.15  金曜日

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