藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

   ウグイス「嬢」と呼ばないで     2024.2.7

  

  ウグイス「嬢」と呼ばないで 2024.2.2 金 京都新聞 夕刊 記事
 「ウグイス嬢」という言葉は元は、1947年に、東京・後楽園球場で行われた野球大会で女性が初の場内アナウンスをしたときに生まれたとのこと。選挙用語として定着している。昭和40年代までは、「マイク持ちは男の仕事だった」と京都で50年以上選挙にかかわってきた元議員の男性は言う。選挙で名前を連呼したり支援を呼びかけたりする行為が女性の役割となったのは、京都では、昭和50年代の初めに、衆院選で自民党公認候補が「ソフトな選挙を」と唱え、女子大生が選挙カーに乗り、マイクを持つようになったことに始まる。以後、「ウグイス嬢」を活用する動きが広がり、アナウンサーなど本職の女性に頼む慣習が出来たという。選挙事務所では「ウグイス」「ウグイスさん」と呼ぶようになってきていると言う。
 ちなみに、「ウグイス嬢」に対する言葉として、男性を「カラスボーイ」と呼ぶことがある。市長選の各選対に聞いてみたが、使用実績はなかった。(記事のまとめ。文責、筆者。)


   ノート
 最近、男女の差を言語化してきた従来の職業名称が性差のない言い方に代えられてきている。看護婦は看護師になったし、女優は俳優になっている。ジェンダーフリーの影響だろう。
 「男らしい」「女らしい」という言葉もすでに死語である。
 一方、「男よりも男性的な」女性、「女よりも女性らしい」男性もいる。ユングはアニマ、アニマスと男性の中の女性的要素、女性の中の男性的要素を象徴的に呼んだが、日本文化の「ますらお」「たおやめ」も忘れられて久しい。
 もっとも、天照大神は女性であり、女性的存在が男性より劣っていると一概には言えない。
 文化は前代のものを矯めて、そこに次代の文化が入ってきて、形成されるものであるから、文化の推移を比較文化学的に通時的に認識することに努めたい。


                         2024.2.7      水曜日

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