超国家主義 2024.2.12
橋川文三
超国家主義
丸山眞男は超国家主義を「極端なナショナリズム」と考えて否定的にとらえたが、橋川文三は超国家主義を「国家を超える主義」としてとらえ、1921年の朝日平吾による財閥安田善次郎暗殺、1931年の石原莞爾による満州事変、1932年の井上日召による血盟団事件、1936年の北一輝による二・二六事件を取りあげて、研究していった(p.82)。
橋川文三は超国家主義の土台には、自我をめぐるナイーブな煩悶が存在し、個を超越した存在と一体化しようとした彼らは、自我の救済は、崇高で超越的な存在によって可能になると考え、それが彼らを宗教へ導いていった言う(p.83)。 中島岳志 島薗進(2016)
ノート
橋川文三という人は、丸山眞男ゼミの出身だが、丸山と考えがかなり異なり、なぜ、戦時、日本浪漫派流の考えに当時の青年はいかれてしまったかを生涯、考え続けた人である。
超国家主義には親鸞主義のものと日蓮主義のものの二つがある(p.47)。
我々はいまだに国家中心の世界を超克していない。なぜなのかを比較文化学的に考え続けたい。そこにしか活路はない。
2024.2.12 月曜日