藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

廃仏毀釈        2024.2.16

     廃仏毀釈
 1868年  神仏分離令公布。廃仏毀釈の流れができる。
 有名寺院の仏像などが二束三文で売りに出され、寺の庭には、仏像の首が転がる所もあったと言う。
 1970年代半ばに廃仏毀釈は収束する。
 しかし、祭政一致の理念は続き、1890年の『教育勅語』で民衆は天皇崇敬、国体思想を当たり前と思うようになっていく(p.106)。 中島岳志 島薗進(2016)


   ノート
 「神道は宗教にあらず」。神道非宗教説。「日本は神国也」と言ったのは北畠親房『神皇正統記』であるが、皇統を書き記しているだけであまり面白い本ではない。
「神道は宗教にあらず」。宗教以前の日本人の根っこにあるものが神道だと言うのだろうが、神道には経典もなく、天台、真言が平安時代に国家鎮護の宗教として認定されて以降、神道も仏教を取り入れ、変化していく。
 明治の神道は国家神道で天皇崇拝を中心とする民族宗教であって、世界的普遍主義を持つものではない。「八紘一宇」(一つ屋根の下の八つの方向)は『日本書紀』から田中智学が転用して、一気に広がった言葉だが、普遍的平等性の理念を持つ言葉とは言えない。石原莞爾は「八紘一宇」の理想の下、満州事変を起こしたが、できた満州国で五族間の差別賃金は厳と存在した。石原莞爾の理想は実現されなかったのである。


                          2024.2.16    金曜日

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