藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

  餅         2024.2.28

                   餅
    餅と日本人
 餅を正月に禁忌する地域がある。柳田国男は晩年、餅なし正月について、元旦は餅が神に供えられているべき期間であったから、禁忌したのだろうと述べている。
 安室氏は餅なし正月は、一族の団結を自覚することと他家への自己顕示の両方の意味があると言う。
 餅なし正月は、餅を入れた雑煮を食べることは含まない。
                      安室知(2021)『餅と日本人』吉川弘文館


   ノート
 大切なものを禁忌するというのは民俗学、文化人類学の好みそうなテーマである。
 餅についても、餅なし正月とされる地域、たとえば長野などがあるが、面白い風習で、一族の団結、他家との相違の顕示化、更には他の作物禁忌との関係が窺われて面白い。
 一種の願掛け、食べ物断ちとの関係もあるであろう。
 人は一番大切なものを絶対者や絶対的存在に捧げることによって救われるという考えは、宗教でよく説かれる教えである。「一番大切なもの」は現在では「金」だから、「金」を借金してでも、破産してでも貢げという宗教は「公共の福祉」に反するから、解散命令が出された。しかし、そこまでして救われたいという人の精神的苦痛についてはマスコミは差別問題がからむからだろうが、絶対、報道することはない。もう人々はマスコミなど、信用しなくなってきている。若者もテレビを見ない。SNSだけでは、主観の嵐で恐ろしくもあるが。人はまだまだ精神的に進化していない。


                             2024.2.28  水曜日

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