藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

影響  比較文化学的考察 2024.4.1 月

   

    漢字からひらがなへ 影響は受けたが日本人の独創性があると「国風文化」の一つ 
   として強調する日本人 中国への小中華主義の表れか? 


     影響  比較文化学的考察
 本居宣長は熱心な浄土宗の家に育ち、その絶対他力宗の影響を受けて絶対天皇崇拝の考えを持つようになったと言う。中島岳志氏の説。それに対して、当時の宣長の浄土宗信仰は宗門改めで習慣的な宗教的帰属を形式的に持った程度のもので、浄土宗の影響はないという反論があることはすでに以前、述べた。
 柳田国男は仏教、儒教の影響のない「原日本人像」を見出そうとした。すでにそこにバイアス(偏見)がかかっているという考えがある。つまり、「原日本人」などというものはなく、仏教、儒教の影響を無視した「原日本人」などというものはないという考えである。宣長の「唐心」に対する「大和心」などというものも、宣長のでっちあげにすぎないという考えがあるが、無視はできない。和製ドンファン、色男の恋を描いた『源氏物語』が大和心の表れと宣長は言うが、首をかしげてしまうという考えも理解できる。
 Dei   Imago 神の似像 というのは、人間を神に似た存在と考えるもので、その神が白人だということになると、有色人種差別に結びつく。(対抗したブラック・モスレムというマルコムXの考えもある。)キリスト教の影響で、有色人種差別は助長されたという考えもある。ユダヤ教の選民思想を克服してキリスト教は「博愛」を唱えて世界宗教になったというが、根にあるユダヤ教の影響は無視できないのではないか。
 北朝鮮にも選民思想はあり、世界は北朝鮮から始まったという思想を北朝鮮は根底で信じているという説がある。北朝鮮の行動を見ていると、あながち嘘ではないという気もする。
 韓国にも韓国ナショナリズムがあり、例えば、「韓国ラーメンは世界で一番うまい。なぜなら、世界で一番だからだ」と言うていのものである。小倉紀蔵氏が言っていた。
 北朝鮮や韓国は異常に一番になることにこだわる国である。一番になるのは一人、一つだということが認められないのか。日本の嫌韓意識はそんなところから醸成される。もちろん悔日意識も強く、「日本にあるものはすべて韓国が発祥」という考えは韓国人の多くが持っている暗黙の常識だ。
 日本語と韓国語は文法が非常に似ている。日本語は韓国語の影響でできたと韓国人の多くが信じている。しかし、発音は全く違う。このことを誰も説明できない。言語学者もできない。日本語はウラル・アルタイ語に属すると言うのがやっとである。シベリアの辺と日本語を結びつけようというのである。
 影響というのは、かくも難しい問題をはらんでいる。比較文化学的にはそうした相対的認識を持つことを優先したい、ということになる。自己の相対化が比較文化学の行うことである。価値観はそのあとの問題だ。


                         2024.4.1   月曜日

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