藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

時代区分について     2024.4.5 金

                    上は既存の時代区分  
        時代区分について
 近代を明治、大正、昭和、平成、令和と和暦区分することには反対意見も多い。
 竹村民郎(2004)『大正文化 帝国のユートピア 世界史の転換期と大衆消費社会の形成』三元社は大正、昭和前期を次のように分けている。


 1910年代 大英帝国覇権の後退期
 1920年代 戦後としての1920年代
 1930年代 国家総動員体制へと向かう


  という時代区分をしており、それなりの説得性を持っている。国際的研究の際にも西暦基準は受け入れられやすいであろう。
 高坂正顕(1999)『明治思想史』燈影舎 も明治時代について10年ごとの時代区分をしていて、


 1870年代 文明開化・明六社
 1880年代 自由民権時代・キリスト教と明治の精神
 1890年代 文芸復興・精神革命
 1900年代 個人主義・社会主義・平和主義・帝国主義
 1910年代 自然主義・漱石・鴎外


 という区分をしている(正確には、1870年代は「1870年より1880年に至る」のように次の最初の一年を含む。大差はない。)。このほうが和暦で10年ごとに分けるよりはるかにわかりやすい。
 明治から現代を開化と国粋のサイクルで考える西川長夫氏の説を考える際にも理解しやすい。明治の最初の20年は開化で、1890年代は明らかに国粋の文芸復興の時代である。日清戦争もその文脈で考えれば理解が深まる。


                        



                           2024.4.5   金曜日

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