藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

バブル経済の崩壊

    

     バブル経済の崩壊
    日本は国土が狭いこともあり、現在、土地がもっとも確実な資産とみなされている。
     バブル経済とはこうした「土地中心主義」を基礎として、「実態価値以上に膨らんだ泡のような経済」のことを指して言う。1980 年代後半の日本は、まさにバブル経済全盛期であった。銀行の過剰融資によって地価が急騰し、企業が更にその土地を担保に借金して株に投資し、株価が急騰した。土地を転売するだけで儲 もう かるので、「土地転がし」
「地上じ あ げ屋」が横行 おうこう した。
 90 年代に入ると、金融引き締めや土地融資の規制強化などによって、地価上昇に歯止めがかけられ、バブル経済は崩壊した。首都圏の地価は下落 げらく し、株価も低迷した。「地価も株価も下がることはない」というかつての神話は 覆 くつが えされた。バブル経済は崩壊したが、現在でも日本人の指導者層には拝金 はいきん 主義が考えの中心にあることは否 いな めない。


  ノート
 日本人は、現実にどう対処するかを考えるが、現実を変革するために行動するという考えはあまり持たない。寺田寅彦が言うように「天災は忘れたころにやってくる。」地震と台風のある国土で、突然やってくる災厄に対して、災厄が頭上を通り過ぎるのを「くわばら、くわばら」と言って祈るのが日本人である。
 バブルの時も、おかしいとは思っても、自分には関係ないこととして、通り過ぎるのを看過する。実際、バブルで地上げ屋をした者も仕事と割り切って地上げをする。日本人には、倫理観よりも、いかに今ある現実を切り抜けるかを考えることのほうが大切のようだ。
 バブル経済で銀行の利子は年間、8パーセントぐらいになり、その利子で人々は海外旅行に繰り出した。日本人の世界中での土地の買い占めが行われ、アメリカでの土地の買い占めはアメリカの逆鱗に触れ、バブル崩壊後の、不況の30年を迎えることになる。


                           2022.7.27       水

×

非ログインユーザーとして返信する