藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

海   柳田国男の「海上の道」は海を日本を外国と閉鎖する要因とみるのではなく、東南アジアへ通じる交易の道としてとらえている

       海
 日本は海に囲まれた島国である。大陸からは文化を受容するのに遠すぎず、侵略を受けるほど近くもない位置に存在していた。そのため独自の文化を作るのに適していた。太平洋側は南から暖流の黒潮が流れ、北からは親潮が下がって日本列島のほぼ中央でぶつかり、そこに世界の三大漁場が形成されている。北海道の東北部は、春になるとオホーツク海から海氷が大量に流れてくる。南の沖縄の海には世界有数の珊瑚礁6があり、美しい海として世界的に有名である。


  ノート
 柳田国男の「海上の道」は海を日本を外国と閉鎖する要因とみるのではなく、東南アジアへ通じる交易の道としてとらえている。
 京都の角倉了以(1554~1614)や茶屋四郎次郎(1545~1596)は安土桃山時代に東南アジアとの交易をおこなったことでつとに有名である。17世紀後半の江戸幕府の法制備の進展とともに、海外渡航の禁が法制化され、1688年には鎖国が執行されたが、日本人の海外への好奇心、憧れの気持ちは舶来品への珍重として現れ、現在のブランド品志向もその流れの中に位置づけられる。江戸時代の唐物(からもの)の尊重は、明治維新とともに欧米の舶来品の尊重へと姿を変えていく。日本人の舶来品好みは根強い文化的傾向である。


                            2022.8.28      
 
 今日で日本文化概論 キーワード編は終わります。
 明日は、過去の日本文化概論 キーワード編の目次をアップします。
 読み書きを学ぼうとする日本語非母語日本語学習者のための日本理解の読み物教材(速読用)が主眼ですが、日本語母語話者にも日本文化再認識のよすがとなると思い、アップしてきました。明後日からは、日本文化、比較文化のトピックをテーマにエッセイ風の文章をアップしていくつもりです。
 今後とも、よろしくお願いします。

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