藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

クイーンズ・イングリッシュの行方から考える

      

      クイーンズ・イングリッシュの行方から考える
 京都新聞 2022.9.25 日 朝刊 『天眼』 に浜矩子(はま のりこ)氏が「女王の死去でどうなる「クイーンズ・イングリッシュ」」という題で、文章を書いていた。『天眼』は京都新聞の知的水準を示す日曜日朝刊目玉エッセーである。以前は梅原猛氏、山折哲雄氏などが書き、格調と深さのある京大京都学派の余韻を感じさせる記事であった。今は、レベルが落ちた(自称、哲学者など文章をこね繰り回しているだけで痛々しい。)が、今回の浜矩子氏のものなどは一級の文章である。
 浜氏は言う。エリザベス女王が亡くなり、チャールズ・国王の時代が始まることによって、クイーンズ・イングリッシュと呼んでいた英語はキングズ・イングリッシュになるようである。クイーンズ・イングリッシュ、それは、上流階級英語であると同時に、ちまたでは「ポッシュ・イングリッシュ」とも呼ばれる。「ポッシュ」posh とは「お上品」とか「お偉方」と言う意味である。日ごろ、ポッシュ・イングリッシュを喋っているお偉方が庶民受けしようとしてポッシュではない英語を使おうとすると、これほど庶民に嫌がられ、嘲笑されることはない。今後、スコットランド・イングリッシュやアイリッシュ・イングリッシュで語る人が王座に着くことは近い将来にはないだろうが、可能性ゼロではないし、決して悪いことではないように思える。階級間の英語格差はかなり縮まったが、庶民英語に媚を売るポッシュ系は忌避される。
 浜氏の言わんとすることは、階級差はあるが、民主的平等性へ向かっているし、上流階級が庶民階級に媚を売ると、庶民から手ひどい非難を受けるということである。上流階級と庶民と言っても、単純に上と下ではないというのが新しい情報である。
 かつてドイツ人女子学生に日本語を教えていた時、ドイツでは話をすると、階級が言葉でわかると言っていた。そして、階級が違うと話をしない、できないと言っていた。こういうことはイギリスでもフランスでもそうなのに、誰も伝えない。マスコミも。
 新聞からして違う。ロンドンタイムスとサン。ルモンドとフィガロ。上流階級と庶民階級では読む新聞、書かれた文章が違うのである。「階級」が生まれたヨーロッパとはそういうところなのだ。アメリカでも同様だ。上流階級の話す英語と黒人英語は違う。
  日本はそういう意味では、みんな同じ新聞を読むし、問題は「階級」とは違う形で現れる。「同調圧力」とかニートの存在として。北朝鮮の指導者には問題があるが、人民は人民なりの生活をしている。そういうことを報道するマスコミは皆無である。
 ゲスマスコミにご用心。金になる記事を載せて、買わせるのが基本だから。大体、朝日新聞は日清、日露戦争で大きく販売数を伸ばしていった新聞。ほかの新聞も大同小異である。


                              2022.10.8     土

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