藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

BS7 水曜日 午後7時―9時「Youは何しに日本へ」「私が日本に住む理由」


 
 BS7 水曜日 午後7時―9時「Youは何しに日本へ」「私が日本に住む理由」 日本にいるYouの来日模様と日本での物語


 外国人のことをYouと呼ぶのはセンスがいい。男友達、女友達を「彼」「彼女」と呼ぶのと同じ、日本人流の外国語消化法である。日本人は婉曲を好む。「外国人」に付きまとう差別的色彩を回避したいと思い、Youと呼ぶのだろう。放送局の保身主義も前提にあるだろう。「外国人」と言う語はクレームがつきやすいから。
 閑話休題(それはともかく)、「Youは何しに日本へ」は成田や関空でYouを捕まえて、来日目的を聞き、相手が了承したら、一緒にその来日目的を達成する過程をルポするという内容。盆栽の勉強、北海道でのスキー、日本自転車旅行などその目的は多岐にわたる。Youの好奇心の強さ、好奇心を満足させようという行動力は日本人の比ではない。日本人の多くにとって、やはり外国は「フランスへ行きたしと思えどもフランスはあまりに遠し。せめては新しき背広など来て、旅に出でてみん」と萩原朔太郎が詠ったような「遠くにある理想の国」なのである。「極楽浄土」的ですらある。モーダルな、情緒的な日本人。
 続いての「私が日本に住む理由」は日本語に堪能な、日本で働くYouの物語である。音楽演奏家、焼き鳥屋、限界集落での農業、さまざまである。日本語を問題なく話すレベルだから、エリートYouである。愛想もよく、自分から日本人に話しかけて、人間関係を作っていく。
 こうした番組を見ていると、国などというものはあまり表に出てこなくていいし、人が行き来すればいいではないかと思う。「国際交流」と難しく考える必要はなく、日本人もYouもいる社会。そういう社会の実現が望ましい。悪いことばかり考えないで、こういう番組を見ることから世界を考えたい。
 私は日本にいながら、日本語を50か国の人に30年以上教えて、そういうことを実感する。
 外国語も英語や中国語を教えたからバランスはとれている。英語も中国語も、そして初級を勉強したフランス語も先生に習ったから少しはできるようになった。教えたり教えられたりして人生は深まる。平等とはそういうものだと思う。


                          2022.10.25   火曜日

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