1976 米 タクシードライバー
1976 米 タクシー・ドライバー
あらすじ
ベトナム戦争から帰還した元海兵隊の1人の青年(ロバート・デ・ニーロ演じる)が、ニューヨークの夜の街をタクシー・トライバーとしてタクシーを流しながら、町の不潔さ(精神的、物理的)に苛立ちを感じ、大統領候補の選挙事務所に勤める女性と親しくなるが、その恋もうまくいかず、やがて、闇ルートから銃を手に入れ、この世の不潔さ、不浄さを一掃しようとして、14歳の少女売春者(ジョディ・フォスター演じる)を食い物にする連中を射殺して、自分も殺されるという破滅型の内容。
ノート
アメリカではこうした射殺事件は多い。ロジャー・ムーアがその多さをカナダとの比較でドキュメンタリーにしている。アメリカは我執の国、欲望放縦の国である。そして、成功した金持ちだけが欲望を満たせる。欲望を満たせない者はルサンチマン(欲求不満)を自分と他者に向けて、極端な場合は両方の破滅に向かう。
アメリカの闇は世界に広がりつつある。対立・闘争の世界観はマルクス主義の異母兄弟ではないかと疑いたくなるほど、相似している。
ロシアでもロシア革命の後に、アルツィヴァーシェフのような自己、他者破滅型の小説が流行った。似たような世界観のなせる業である。この世は醜く苦痛に満ちている。自分も他者も滅ぼしてしまおう。ニヒリズム(虚無主義)が世界を覆うのをどうして食い止めればいいのだろうか。人の善意や共同をマスコミが報道することは少ない。
2023.4.3 月曜日