藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

ヌン活    ハレとケ

   

      ヌン活
  京都新聞 2023.7.13 木曜日の 現代のことば 「お嬢様のお茶会」倉持佳代子 京都国際マンガミュージアム学芸員 
 によると、紅茶を飲み、スコーン、サンドイッチなどの間食を楽しむ英国文化・アフターヌーンティーがここ数年、日本で流行していて、各ホテルが趣向を凝らしたアフターヌーンティーの企画を続々と発表している。そうした企画の数々をめぐることを「ヌン活」と呼ぶそうだ。
 しかし、倉持氏は「お茶会」というほうがしっくりくるし、「ヌン活」の背景には、心に住まう「お嬢様」の存在が大きいという。
 「お嬢様」は女性の心に不意に現れる、ケにたいするハレのようなもので、アフターヌーンティーはインスタ映えを狙っての熱狂だけでなく、「エースをねらえ!」や「ガラスの仮面」「ベルサイユのばら」でかつて「お嬢様ごっこ」に興じた経験のある女性の心の中に住まう「お嬢様」を時に解放するのにうってつけなのだという。
 人は日常のケのなかにいると、ケガレが鬱積し、ハレの日を求める。それが祭りだというのは民俗学、人類学などでよく知られたことだ。
 京都の祇園祭もそうした祭りの一つだろう。祇園祭は四条周辺の人たちの祭りで、一般京都人にはとりたてて関係のない祭りではあるが。
 人は子供の時の非日常のハレの日を忘れることはできない。大人になってもかつての子供時代のハレの日の興奮を求めて、ときどき羽目を外して、酒を飲んだり、旅行をしたり、週に一回、競馬券を買ったりするのではないか。
 人は変化を求める。ケとハレの循環にそのメカニズム解明のヒントがあるようだ。


                              2023.7.25 火曜日

×

非ログインユーザーとして返信する