藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

森村誠一さん 死去

  

     森村誠一さん  死去
 7月24日 月曜日  森村誠一さん死去。青山学院大卒後、ホテルマンの傍ら、小説を書き、1969年「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞、1973年「腐蝕の構造」で日本推理作家協会賞を受賞、地歩を固めた。歴史・時代小説も執筆。旧日本軍の「731部隊」を通して細菌兵器など戦争の暗部に迫った「悪魔の飽食」も話題になった。
                        京都新聞 2023.7.25 火曜日 参照


   ノート
 「731部隊」にいた石井四郎がアメリカと取引して、罪を免れたのは有名。ミドリ十字にも関係者がたくさん就職した。731部隊の幹部たちはいずれも沈黙を貫いた。
 戦時中は「石井の番頭」を公言して憚らず、階級が最終的に中佐まで進んだ内藤良一博士も同様であった。この内藤博士は戦後、のちに大手医薬品メーカーに成長するミドリ十字を創業し、その会社が薬害エイズ事件を引き起こしたのは何かの因縁であろうか。
731部隊の闇…日本社会がどうしても隠したい「残酷すぎる過去」(島崎 晋) | 現代ビジネス | 講談社(3/6)参照
 岸信介といい、アメリカと取引して、命を長らえた日本人は多い。そうした人が上にいて、成り立ってきた戦後日本社会だから、今になって報いが降りかかってきているのかもしれない。
 森村誠一さんは共産党支持だが、政治主張はは置くとして、立派な作家だったと思う。「悪魔の飽食」では恫喝など様々な嫌がらせを受けたという。
 森村さんの小説は虚無的なものも多いが、人間としては誠実な人だと思う。



                               2023.8.3   木曜日

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