藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

京都

       

      京都
 京都は現在、観光都市で、八坂さんも嵐山も観光客でごった返している。バスに京都市民が乗るのも難しいところもある。観光名所の近くの京都市民は苦々しく思っている。
 京都は江戸時代は職人の町だった。鍛冶屋町とか衣棚通りといった通りの名前にそれが残っている。そのことは以前、述べたことがある。
 江戸時代には、京都といわず、「みやこ」と呼んでいた。
 能楽「熊野」ゆや の舞いに


     都をはるかにながむれば 大悲王護の薄霞 ♫


  とある。お仕舞いの最初に「熊野」を習う、その個所である。
 京都の真中に鴨川が流れ、清浄感を漂わせる。三方を山でおおわれて、北山の原生、東山のたおやかさ、西山の心の平安と、それぞれに風情がある。


   ふとんきて 寝たる姿や 東山   嵐雪 松尾芭蕉の弟子


   清水へ 祇園をよぎる  桜月夜 こよひ逢ふ人  みな美しき  与謝野晶子


 外国人にこの風情がわかるのだろうか。わかる人もいるだろうが、物見遊山だけの外国人にはわからないだろう。京都の御所の近くは外国人向けのホテルだらけになってしまっている。ひっそりと、静かに控え目にそうしたホテルがたくさんできている。


                    
                                2023.8.5 土曜日

×

非ログインユーザーとして返信する