藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

今、はがきは何日で相手に届くか

       

      今、はがきは何日で相手に届くか
 明治の郵便配達は速かった 黒川創  京都新聞  2023.7.26 水 夕刊 現代のことば より
 黒川創氏は作家。
 昨春、鎌倉から郷里の京都市左京区に帰り、同区内の90代の作家Yさんと折々に文通している。Yさんは手紙好きで、パソコンやスマホは所持していないので、はがきでのやり取りをしている。
 夏目漱石は手紙のやり取りをよくしていて、漱石と同じ東京在住なら午前に便りを投函すれば、午後には先方に届き、相手がすぐに返事を書いて投函すれば、同日の夕刻には漱石の手元に戻ってきた。漱石はさらに宵どき、同じ相手に手紙を出すこともあった。当時の郵便制度は、実に迅速でこまやかなものだった。
 ところが、京都に帰った当初、早ければ投函当日に届いていたYさんのはがきが、今では週末をはさんで5日間かかったりする。黒川氏の住まいから下鴨のY氏の家まで自転車で15分とかからない。おととし秋に普通のはがきや封書の「土曜配達」が休止になり、そこからの段階的な変化らしい。
 1968年、郵便番号が制定され、1998年、郵便番号は7桁に改められ、都道府県名と市町村名を省略して投函できるようになった。それでも宛先の住所のうちの都道府県名と市町村名を省略して投函する人はほとんどいなかった。
 2020年の現在、マイナンバーで「国民総背番号制」は現実のものとなっている。使わされる側には恩恵を実感できる場面がほとんどない。まして、郵便番号を正確に書いても、手紙の配達が明治時代よりもはるかに遅くなっているのは、恐るべきことだと思っている。(内容要約)


     ノート
 社会システムが進化すると、それまでに使用されていたシステムは廃止されるか、使用が少なくなり、不便になる。
 マイカーの普及で、バスは一時間に一本になり、スマホの普及で、手紙、はがきのやり取りは激減した。
 辺鄙な地方では「買い物難民」という言葉もある。現実に京都、大阪から電車で2時間のところにも「買い物難民」はいっぱいいる。そこにマイカーで買い物をする人々のためのイオンがそびえたっているところは多い。
 黒川氏の言うように、郵便配達が明治より遅くなったのは恐るべきことで、我々は便利さ、コスパ、国の事務経費の削減のために、どんどん管理されていっているのかもしれない。マイナンバーについては、使う側にその恩恵が実感できるようにすれば、普及はしていくだろうが。
 この社会は取り残されていく人間のことを考えてくれるような社会ではない。それは民主主義ではないだろう。多数は少数のことを、少数は多数のことを考え、配慮するのが民主主義である。民主主義は単なる「理念」である。現実には、合法的権力が堂々と立法化して猛威を振るっている。みんな自分がどう対応するかで精いっぱいだ。
 アナウンサーの選挙に行きましょうという掛け声で変わるほど現実は甘くはない。選挙に行って現有勢力を支持する人だって多い。野党の無責任な、いがみ合いを見ていると、政治は誰のためにしているのかわからなくなる。彼ら政治家は市会議員からして年収1200万以上の特権階級だ。まず800万ぐらいに年収を抑えるべきなのに、どの政党も賛成しない。みんな一般人は、選挙に通ることファーストのあんたらに不信感を持っているんだよ。



                            2023.8.7  月曜日

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