藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

宮沢賢治  「猫の事務所」

   

     宮沢賢治  「猫の事務所」
 宮沢賢治の「猫の事務所」は、かま猫という夜、暖かいのでかまどの中で寝るのが好きなかま猫が他の猫からかまの灰がついていて汚いといじめられる話である。かま猫は役所で働いている。ほかの役所の官員はかま猫に仕事を与えず、いじめる。かま猫はめそめそ泣いて、夜になると、かまどで寝る日々。
 ある日、ライオン(より上の官吏)がやってきて、「そんな役所なら、やめてしまえ!」と言い、かま猫へのいじめはなくなるが、役所も閉鎖されてしまう。
 宮沢賢治は最後にこういう趣旨のことを述べている。「ぼくはライオンの考えに半分賛成です。」つまり、半分は反対ということで、権力で無理やりやめさせても解決にはならないということを言っているのだと思います。
 人間の集団では、誰かをいけにえにして、日ごろのうっぷん晴らしをするということが行われ、それがもとで不登校になる子供もいます。いじめる子供はその親が人をいじめるのをまねているのだと思います。いじめる子の問題はいじめる親の問題ですが、いじめる親は悪いことだと思っていません。「差別」の問題と同じ根の問題です。
 人の痛みがわかるには、人と同じ痛みを受けるしかないのかもしれません。しかし、痛みを受けるとほかの人をいじめてうっぷん晴らしする人もいますから、人間のレベルが高くなるしか問題はなくならないように思います。
 きょうも暑い日が続きます。レジャーでのマイカー自粛、コンビニの夜間営業自粛を人々、企業は行いませんし、テレビも自粛を呼びかけません。それほど楽をし、金をもうけたいのでしょうか。



                              2023.8.8  火曜日
 



















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