藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

 翻訳について

   翻訳について
 翻訳は外国語を母国語に訳すのと母国語を外国語に訳すのと二つに分かれる。
日本は外国語を母国語に訳す翻訳大国である。
それは日本人の舶来品好みと通底している。
日本人は外国には素晴らしいものがあると思っている。
 山のあなたの空遠く
 幸い住むと人の言う
 アンドレ・ジイドの詩にある。円歌が言っていた。 
 外国のものを自分の国のものに引き寄せるのを同化と言う。
 これは意訳である。
 自国のものを外国に合わせるのを異質化と言う。
 これは直訳である。
 東大の先生が
 できるだけ直訳にすることを旨にして
 ある国の小説を日本語に訳している。
 実際には、意訳も多々見られる。
 例えば原文では
 「二十年故郷に帰っていなかった。」としか書かれていないのに
 先生の日本語訳では
 「二十年故郷に帰っていなかった。」となっていた。
 日本語としては「も」を使い、長く故郷に帰っていなかったということを
 強調したいのだろう。
 翻訳は単語の移し替えだけでなく、
 句や文、文章レベルの移し替えの問題を含んでいるから
 今まであまり学問の対象にならなかった。
 西洋学問としては「真理は一つ」であるから、
 客観的に、実証的に証明できないものは
 切り捨ててきたのである。
 西洋学問も根本のところで結構、主観的である。



                          2023.9.13      水曜日

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