藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

中国料理  中華料理  支那料理  町中華  東坡肉(トンポーロー)

   


中国料理  中華料理  支那料理  町中華
 今は中国料理が一般的で、中華料理とは言わないだろう。中華料理は「中華」が「世界の真ん中の華(はな)」を連想させるので、「何が真ん中の華だ」と、1911年の「中華民国」を国として認めたくなかった日本の「小中華主義」意識がよみがえり、むらむらと頭をもたげ、「中華民国」とは呼んでやらない、昔からの呼び名「支那」で十分だという記憶を重んじるというところであろう。石原慎太郎(まだ生きている)や渡辺昇一(5年前に死去。)などはそうであろう。「支那」という呼び名は、郭沫若からクレームがついたのが大きく影響している。それに「支」は「本」(もと)に対して、枝葉末節を感じさせるから、中国が本家なのに、枝葉末節の日本に「支那」と言われたくない、という中国人の意識も関係していることであろう。もともとは「秦」がCHINになり、CHENになって、ヨーロッパへ伝わったということだから、差別意識はないだろうが、相手が嫌だというのだから、避けたほうがいいだろう。今のことについては「中国」、戦前については「シナ」とカタカナで書く人もいる。「ラーメンの鬼」佐野実(故人)は「支那ソバ屋」と店名を名付けていたが、昔、そう言っていたからでは、教養のない人だなということになる。
 最近は町中華というテレビ番組もあり、新しい食レポ番組として好評を博している。玉袋筋太郎のちょっと野卑な感じのオーバーアクションの面白さと、町中華の主人らへのさりげないねぎらいの言葉が心を温かくしてくれる。
 私の一番、記憶に残る中華料理は「トンポーロウ」。宋代のグルマン蘇東坡が作らせたともいわれる、豚の角煮であるが、33年前に食べた「東坡肉」(トンポーロウ)は本場の、半端ない料理であった。杭州で食べた。豚の皮付きの白身(脂身)を何日もゆでたものを、湯煎した皿の上にケーキを分けて切ったように、どんと大きなのを置いたものである。湯煎するのは、脂が固まらないようにするためである。中国人が肉と言えば、豚肉のこと。本当によく豚肉のことを知っている。豚肉の一番、おいしいところは脂身である。魚の白身のようでもあり、とろっとした豚の脂身を食べたのは衝撃的だった。日本ではほとんど脂身を食べない私も思わず、食べてしまった。上の写真の赤身部分を除いたようなものだった。


                      2022.1.15     土

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