藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

〇✖ は ✖ 浅田彰 / 自問自答 先崎彰容(あきなか)2022.3.14 BSフジ プライムニュース ウクライナ侵攻を思想史的に考える


〇✖ は ✖ 浅田彰 / 自問自答 先崎彰容(あきなか)2022.3.14 BSフジ プライムニュース ウクライナ侵攻を思想史的に考える
 1983年浅田彰著『構造と力』勁草書房刊 は、思想関係の本としては異例の15万部売れ、浅田彰は、中沢新一らとともにニューアカ(=ニューアカデミズム)の代表として世の脚光を浴びた。浅田彰の師の森毅が言うように、浅田の本領は、一見、無関係に見えるものの関係性を明らかにすることにある(浅田彰 ウィキペディア 閲覧)。
  ロシアのウクライナ侵攻について、浅田は第一次世界大戦後のドイツに天文学的数字の賠償を負わせたことがナチス・ドイツの台頭を惹起したことを想起させると言い、ウクライナ支援は善で、ロシアはすべて悪というマスコミの報道、人々の空気は異常であると指摘していた。
 一方、現代思想史が専門の先崎彰容氏はロシアはロシア革命後、亡命した元ロシア貴族や元ロシア知識人が、ユーロシア主義(ロシア、ウクライナ、ベラルーシの三位一体文化圏)を標榜し、他の欧米と対抗しようとしたことを想起すると述べ、民主主義が低迷し、資本主義が行きづまっている現在、SDGsや地球温暖化も近代の産業革命後の大量生産、大量消費の結果であり、近代の国家の持つ領域概念の問題が噴出したのが今回のロシアのウクライナ侵攻ではないかと問題提議していた。
 最後に要点をまとめて、浅田彰氏は「〇✖は✖」=〇か✖かという二者択一は✖=だめ であると、浅田氏らしい多様な関係性の重視を提唱し、先崎氏は「自問自答」=マスコミに踊らされず、自分の頭で問いを出し、考えろと述べていた。
 この二人の優れている点は、今回のロシアのウクライナ侵攻を歴史の中で位置づけようとしていることである。それだけの教養がある。
 マスコミの報道は、悪者探しが多い。悪者を選定したら、その悪者を徹底して、ボコボコにし、飽きたら、次のターゲットを探す。その繰り返しである。教養がない。視聴率至上主義。それは拝金主義の企業のためにCMをたくさん見せる絵を提供し企業の商品をたくさん買わせるため。視聴率至上主義はスポンサーの拝金主義に奉仕する手段なのである。
 今回のウクライナ侵攻はもちろん、ロシアが悪い。しかし、アメリカのネオコンが背後にいるし、ゼレンスキー大統領もNATO、EU頼みが強すぎる。ロシアに言わせれば、2014年のミンスク合意を履行せず、ロシアを存亡の危機にまで追いやった欧米諸国への最後の反撃の行動がウクライナ侵攻であるということになる。窮鼠、猫を咬む。キ〇ガイに刃物。早く、感化力のある調停者が出て、ウクライナに平和が訪れ、ロシアの猜疑心が解かれる日が来ることを祈るばかりである。


                         2022.3.15  火

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