藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

人情 にんじょう


   健さぁーん  !


   人情 
 親子・恋人同士・友人知人などの間に通い合う愛情、友情などの人間的な感情のこ
をいう。日本社会では人情は義理と対比されることが多く、義理人から受けた恩
に報いるという規範
であるのに対して、人情人に対する自然な感情の発露である。
「人情に厚い」というのは優しく思いやりがあるという意味であるが、同時に義理を
欠いては社会で一人前とは見なされない。義理と人情は日本の社会の人間関係を律す
る2大要素であったし、現在の社会でも受け継がれている。「義理と人情の板挟(いたばさみ)」(自分は本当はそうしたくないのだが、お世話になったりした人の言うことだから断ることができないときなどに使う。)といった表現がある。(拙著  私家版(2018)所収『日本文化概論Ⅳ―キーワード篇―』より)



  ノート
 高倉健主演 東映シリーズ映画『昭和残侠伝』。義理と人情の板挟みで義理をとる。悪い奴らを日本刀でぶったぎる。今を去ること、50年少し前。大学紛争盛んなりしころ、全共闘の学生は、暗い映画館で「健さあーん !」と叫んで、義理に生きる高倉健扮するヤクザの男に声援を送った。流れるは主題歌『唐獅子牡丹』(歌詞は上記添付写真のもの。メロディー等はネットで調べてみてください。)。嗚呼、うれし、恥ずかし、昭和の日本語。男、健さん、どこへ行く ! せな(背中)で吠えてる唐獅子牡丹 !! 日本人の血が騒ぐ ! 哀愁の美学か自己滅却の讃美か・・・。 


                                2022.5.20  金

×

非ログインユーザーとして返信する