藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

亀     かめ

  

  亀
 日本には「鶴は千年、亀は万年」ということわざがあり、鶴とともに亀は長寿の象徴とされている。古代中国と朝鮮が鶴と亀を長寿と繁栄の象徴としたのが日本に伝わって、根付いたものである。琴や能などの伝統芸能には「鶴亀」という作品があり、これを祝辞の代わりに演じることもある。


  ノート
 亀を含む日本人の姓、地名は多い。亀山、亀田、亀井、亀岡、亀谷などポピュラーな日本人の名前である。亀岡、亀山という地名もポピュラーである。
 鶴の項で記したが、鶴や亀は道教からきたものであろう。
 能楽「鶴亀」の歌詞は以下のもの。


鶴  亀
嘉永四年(1851)十二月


作曲 十代目 杵屋六左衛門
〈本調子〉 
それ青陽の春になれば 四季の節会の事始め 
不老門にて日月の 光を君の叡覧にて 
百官卿相袖を連ぬ その数一億百余人 拝をすすむる 万戸の声 
一同に 拝するその音は 天に響きておびただし 
庭の砂(いさご)は金銀の 玉を連ねて敷妙の 五百重(いほへ)の錦や瑠璃の扉 
硨磲(しゃこ)の行桁(ゆきげた) 瑪瑙の橋 池の汀(みぎは)の鶴亀は 
蓬莱山も余所ならず 君の恵みぞ ありがたき 

如何に奏聞申すべき事の候 
奏聞とは何事ぞ 
毎年の嘉例の如く 鶴亀を舞はせられ 
その後月宮殿にて舞楽を 奏せらりょうずるにて候 
ともかくもはからひ候へ 亀は万年の齢を経 鶴も千代をや重ぬらん  (ウィキペディア閲覧)


 長命のめでたいものとして鶴亀はとらえられている。歌詞が長くないので、謡曲の初学者学習用教材としてよく用いられる。


王八蛋 ワンパータン 
王八(亀)の蛋(卵)。妻を寝取られた間抜けな夫を意味する。「王八」は「忘八(wàngbā)から来た言葉だと言われており、「八徳を忘れた者」で恥知らずの意。
「あんぽんたん」の語源であるとの説あり。(ウィキペディア閲覧)


 それで、中国の人は亀を見たら、笑う。池の亀を見て、台湾人留学生がゲラゲラ笑っているのを見たことを記憶している。
 



                                2022.8.15   月

×

非ログインユーザーとして返信する