藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

  

        飼い犬は犬ではなくて、家族。 
  犬
 犬は農耕文化の日本ではヨーロッパやユーラシアの牧畜民族と違い、猟犬よりも番犬としての役割の方が多かったようである。江戸時代には愛玩用としての犬も出てきた。日本を代表する犬には秋田犬、土佐犬、柴犬 しばいぬ などがいる。犬は日本では家族の一員と考えられている。動物と人間は連続して考えられている。それはすべてに 仏 性 ぶっしょう を見いだす仏教思想の影響であると考えられる。


  ノート
 走狗 そうく  という言葉がある。「手先」という意味の中国語であるが、日本語でも一時、よく使われた。貶義である。「悪者の手先」という意味である。 狗 は中国語で犬の意味であり(音はコウ 第三音)、「天狗」 てんぐ という日本語は中国語話者には 天にいる犬 という意味となり、ちんぷんかんぷんであるという。犬は中国語では書き言葉である。漢字一字一字の意味で考えようとするのが中国語母語話者で、日本語母語話者は漢字を他と区別する記号のように使っていることが多い。表意文字の漢字を表音文字のように使っているのである。たとえば、「ゆみこ」という名前は、由美子、弓子、裕美子、有美子、祐美子と様々に書くことによって、他と異なる個人であることを表している。日本人の漢字使用意識はそんなところである。
 日本人にとって犬は家族の一員で、家族五人といって、その内訳を聞かれて、日本人は「父と母と弟とシロと私」という風に答える。日本では動物と人間は連続している。草木成仏悉皆仏性という思想が鎌倉時代以降、根底にあるといったのは、梅原猛氏である。


                            2022.8.16       火

×

非ログインユーザーとして返信する