藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

気候・風土        地形


    気候・風土
     地形
    日本は北東から南西に長く伸びた弧状 こじょう の列島 れっとう である。列島は北海道 ほっかいどう、本 州 ほんしゅう、四国、九州などの主な島、4 島で構成されている。更に沖縄を主体とする南西諸島を加えると、長さは 3500 キロになる。国土面積の 61%は急峻な山岳地帯で、森林に覆われている。人が住める平野や山間の盆地を合わせた平地の面積は 25.4%に過ぎない。この25.4%の平地面積に人口の 79.3%が集中している。そのため美しい山々と緑に恵まれている反面、居住可能面積あたりの人口密度は世界有数となっている。



   ノート
 国土面積の61%が森林におおわれているから、豊富な水資源があって、日本は恵まれている。そのことは故梅原猛氏が注目していたことである。梅原氏はさらに縄文的なものを大切にすることを提唱した。
 緑の多さは、山岳宗教の起こる基礎として重要であった。天台、真言の国家鎮護の宗教も比叡山、熊野といった山の中に戒壇等を置いた。山は聖地で、奈良の三輪山のように山自体がご神体となることも珍しくない。
 明治以来の西洋近代化によって、都市への集中という現象が起こり、とりわけ関東大震災の後はそれが著しくなり、地方で困窮した人々は東京や大阪といった大都市にこぞって殺到し、新しい生活を築こうとした。個人主義化は都市化の異名であり、それに伴って、宅地造成が必要となり、都市近郊の山々が崩され、宅地がつくられた。また、観光による地方活性化のために、山が切り開かれ、瀟洒なホテルが建てられた。その結果、土石流なども起こる深刻な事態となっている。
 最近のゲリラ豪雨、突発的な天候の変化にも人々は生活を変えようとせず、マイカーによる観光地へのラッシュも戻りつつある。自然は人間と関係ない、人間は自然を利用し尽くせばいいというのは西洋近代の大きな柱となる思想である。
 


                            2022.8.22     月

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