藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

台風    台風一過   のど元過ぎれば熱さ忘れる

 

                台風一過


 台風
 南太平洋の熱帯性低気圧が発達して大きな勢力を持ち、日本を襲うと、それを台風と呼ぶ。台風は夏から秋にかけて毎年多くの風水害を日本列島にもたらす。風による被害としては建造物破壊、作物 さくもつ 減 収 げんしゅう、塩風 しおかぜ による送電線の故障などがあり、豪雨による被害としては建造物の浸水・流失、地滑り、山崩れ、土石流 どせきりゅう などがある。アメリカのハリケーンなどと比較すると、日本の台風被害の特色は地滑り、山崩れなどが多いことである。


    ノート
 台風一過という言葉がある。さっと通り過ぎること。その時だけ痛めつけられ、後は何事もなかったように収まること(『新明解国語辞典』)。のど元過ぎれば、熱さ忘れるということばもある。古来、日本人は夏の終わり、秋の始めに台風に見舞われ、それが頭上を通り過ぎるのを我慢すれば、実りの秋がやってくるということを繰り返してきた。その中で、苦しみは一過性のものであり、それを我慢すれば、次には楽しいことが来るという観念を持って生きるようになったようだ。台風で破壊された家々も建設の槌音とともに経済効果をもたらし、破壊の後に創造が来ることを身をもって知った。
  もっとも、それは日本人の感性であって、異なった文化には異なった考えがある。善悪を峻別し、過去の過ちを永遠に問いただすという文化もある。自分のことは棚に上げて。そういう文化があることを知り、不必要な言動は慎むのが、異なった文化を客観的に知る上での基本的態度である。国家と民衆も別物であることを考えたら、民衆ナショナリズムが国家ナショナリズムに取り込まれた過去の歴史をよくよく認識する必要があるという保坂正康氏の言辞は傾聴に値する。


 季節は盛夏から晩夏へ。更に初秋へ。     
 今年は台風があまり来ませんように。


                          2022.8.24     水

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