藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

吉田類の酒場放浪記 自意識、自己主張のなさが心地よい長寿番組

     

 吉田類の酒場放浪記 自意識、自己主張のなさが心地よい長寿番組
 月曜日 BS-TBS 午後9時-10時 放送中
 もう20年以上の長寿番組である。15分ずつ、毎回四つ、いろいろな酒場を吉田類氏がおとずれで、その場の酔客と最初に乾杯し、つまみや料理を誉め、酒を誉める。批評的なうるさいことは何も言わない。酒を飲むこと自体を楽しんでいる。うるさい自意識、自己主張が全くない。安心してみていられる。
 酒場の主人にも「おやじ、酒。」「何か、いいのあるか。」などという横柄な言い方はしない。「最初にビール、いただいてもいいでしょうか」「何か、適当に刺身を見繕っていただけますか。」と極めて謙虚な言い方、物腰である。
 人の批判をしない。ケチをつけない。からまない。善人の酒のみである。
 あてやつまみの値段をすべて表示する。NHKの料理番組がかたくなに値段を表示しないのと対照的である。酒のみというのは意地汚い。酒をたくさん飲みたい。あて、つまみはできるだけうまくて安いのがいい。安いにこしたことはない。その店のつまみ、食べ物と値段を見て、自分がいくかどうか、その店を値踏みする。そういう楽しみがこの番組にはあるので、飽きない、長寿番組となっているのだろう。テレビが飽きられたのは、一方向のゲスエリート一般人ぶりっこ(製作者、アナウンサー)がつくっているのが視聴者にわかってしまったからだ。今の旬は、TikTokである。誰もが手軽に写真や動画をアップできる。音楽付きで。セーブすれば、著作権を気にしないで音楽を使用できる。
 吉田類氏は低山歩きもする。イラストレーターで猫好き。大学のどこを出たのか、大学を出たのかどうかもかたくなに記さない。新書の文章を読むと、かなりの硬質の文章で、哲学的な書き方の文章である。
 月曜の夜は、「吉田類の酒場放浪記」で4軒、手ごろな店で飲んだつもりで寝の国へいざなわれる。これを見たら、もう飲みに外へ行かなくてもよくなった。
 


                         2022.9.12        月曜日         


                     

×

非ログインユーザーとして返信する