藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

安倍元首相のインバウント政策の罪

  安倍元首相のインバウント政策の罪
 安倍元首相の政策の功罪についての評価がいまだ定まらないことが「国葬」についての否定の根拠の一つとして挙げられている(昨日のNHKの報道について書いた私の先のブログを参照)。
 安倍元首相の政策の大きな項目として、経済成長のためのインバウンド政策がある。警察、官僚の治安の悪化等を理由とする反対に対して、官邸主導(安倍と菅のタッグチーム)でビザ緩和して、インバウンド政策を実現した。
 観光立国は何のためか。金儲けのためである。きれいに言えば、経済成長のため。
 ハワイの油だらけ、ニンニクだらけの高くてまずいめし。沖縄をビキニ姿でうろうろするヤマトンチューへの沖縄人のいら立ち。観光立国ってそんなにいいものですか。
 私は京都の中京区に生まれ育ち、大阪や東京、津市にも住んだことがあるが、定年で京都へ帰り、京都は日本人の心のふるさとだと思っている。歴史の宝庫で、勉強すれば、ここに内村鑑三がかつて住んでいたとか、山崎闇斎がこの道を通って下御霊神社へ行ったであろうとか、内藤湖南が昭和の初めにこの神社で講演したとか、黒田半兵衛はこの辺に住んでいたとか、いろいろわかってくる。これほど、歴史の遺産が残っているところはない。清水の舞台、金閣寺、竜安寺、宇治の万福寺、醍醐寺、蘆山寺等々。歴史の建造物が今も山ほど残っているのである。祭りも年中、目につかないが、300以上ひそかに行われている。鞍馬の火祭、葵祭、祇園祭、時代まつり。心が澄む。
 今までは日本人だけが来ていて、どうと言うこともなかったが、安倍氏のインバウンド政策以来、祇園で舞妓さんは袖を引っ張られるは、観光客が串カツを立ち食いするは、京都御所でドローンを飛ばすは、様様な変化がみられ、京都人のみならず、京都観光日本人も辟易としていた。コロナで、観光客が激減して、昔の京都に戻ったが、また、インバウンドでごった返しそうだ。
 現在、静かに外国人富裕層観光客のためのホテルが京都でたくさん建てられている。すでにホテルフジタはリッツカールトン京都になり、金持ち外国人が一泊一人10万円以上の部屋に泊まり、今年の大文字の送り火の景色を金で買って見たことだろう。彼らは世界中で同じことをしている。風光明媚な貧しい地域に高級リゾート地を作り、シャンパンで祝杯を挙げて、酒池肉林の宴を謳歌している。イスラム教が黙っていないはずだ。テロを作ったのは、彼ら富裕層である。テロには反対だがマスコミはそうした構造を報道しない。同じ穴のむじなのゲスマスコミ。
 京都は金持ちの訪れる高級観光地になってしまうことだろう。高級老舗料亭はほくそ笑む。しかし、京都はかつてお公家さんと町衆と僧侶と武士の混合体の町であった。自己主張をはしたないとし、成果品で精神性の高さを競う職人の町であった。精神的な京都はなくなってしまうかもしれない。
 京都を観光の町にして、ホテルと富裕層の別荘としての高級マンションの町にするのは、京都人の力のなさのなせる業であるが、元凶は安倍元首相のインバウンド拝金観光政策のなせる業であると思う。安倍元首相は経済発展のために何でもする気だった人である。原発輸出も、四割非正規雇用も、そして観光立国も。
 だから、人々の多くが「国葬」には反対したのに、岸田首相は、安倍流に「国葬」という既成事実を先に作ってしまった。

 いつまでもつかな。岸田さん。消費税の引き下げでもしたらどうですか。


                         2022.9.28   水

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