藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

自動詞と他動詞  英語による分類を踏襲した日本語

 

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 自動詞と他動詞  英語による分類を踏襲した日本語
 自動詞と他動詞の違いって知っていますか。
 影響が他に及ぶのが他動詞で、及ばないのが自動詞と言う説明を見かけることがある。アウト! 「寝る」というのも人に影響を与えることもあります。例えば、「そんなところに寝てないでください。邪魔になります。」 
 自動詞には「を」がつかないが、他動詞には目的語の「を」がつく。これは英語の真似。
これも厳密な意味ではアウト! 「空を飛ぶ」「公園を散歩する」「第一コースを泳ぐ」これらは自動詞。「を」がついてますが。「経過の自動詞」と苦し紛れに説明している。この「を」は「経過」を表すというのです。
 英文法では①動詞の後に対象となる目的語が直接来ること。②受動態にできること。これが他動詞の一般的定義です。日本語にこれを当てはめる(①は日本語には助詞があるので、厳密には当てはまりません。それで「を」の付く目的語が動詞の前に直接来ると考えたのでしょう。)と、「経過の自動詞」を自動詞とするのは説明がつきません。受動態にできるからです。「~に賛成する/反対する」も受動態にできますから、「を」ではないからと言うだけでは、自動詞とは言えません。「~に賛成する/反対する」は他動詞としたほうがいいでしょう(張麟声氏の説)。


 結論。英語を参考にして日本語にあてはめるだけではだめで、日本語は日本語に即して説明しましょう。英語の真似をしているだけでは、ただの属国文法です。参考にはしてもいい。何か国と国の関係に似ています。言葉の研究は文科系の諸学の基礎です。レヴィ・ストロースの場合、構造主義言語学が彼の文化人類学の基礎であったように。
 大体、日本語の子音に比べて英語、米語の子音は多い。日本人が英語を聞き取れないのは当たり前。英語は読めればいい。それぐらいで結構。
 母語が何かで、その外国語の難しさは変わります。まだそうした常識すら共有されていません。我々は英語によってtame   飼い慣らされ domestication 家畜化される日常を送っているのです。そのことを自覚することから始めたいと思います。


                        2022.10.21     金

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