アーネスト・フェノロサ 日本美術再評価の人
アーネスト・フェノロサ 日本美術再評価の人
岡倉天心について調べていると、必ずフェノロサが出て来る。フェノロサは東京大学のお雇い外国人で、東京大学で政治学や哲学を教えた。ヘーゲル哲学を最初に日本に紹介した人で、「美術真説」を京都の龍池会で講演した時、岡倉天心が通訳したが、日本、東洋美術を西洋美術より優れているとした。明治20年代の日本文化再評価の潮流の先駆者である。
狩野派に心酔し、密教を受戒し、死後、大津の寺に分骨された。
ヘーゲル流の精神と形式の一致に最高価値を置く考えは、岡倉天心の天平文化の絶賛として顕現されている。
美術の価値について、天心は室的時代の頂相(肖像画) を高く評価したが、フェノロサとは考えが違うようであった。フェノロサはことばの書かれた南画を全く評価しなかった。
フェノロサしかり、ドナルド・キーンしかり、アメリカ人や西洋人で、日本の芸術や文学に心酔し、海外に紹介する人が時々現れるのはありがたいことだと思う。
フェノロサの日本美術海外紹介は日本美術流出の元凶、日本文化海外評価への貢献と二面性があると言うのが通説である。
2022.11.11 金曜日