藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

ドナルド・キーン

   

    ドナルド・キーン
 ドナルド・キーンという人は日本文学研究者で、最後は日本に帰化した。謡曲の「松風」の最後の段を、これ以上美しい文章はないと言って、涙ぐんだと言う。
 海軍日本語学校で日本語を勉強して、日本語を手当たり次第に暗記して、文法などはその後であった。
 漢字は日本語非母語話者には難しいが、すべて教科書に出てくる漢字を片っ端から覚えたそうだ。学生同士で「馬耳東風」を「馬耳豆腐」などと書いて、ふざけあったと言う。
 大学院は京都大学で、京都の今熊野に二年住み、修士論文は「国姓爺合戦」に関するものである。国姓爺合戦は近松門左衛門の作で、日本人の母親を持つ中国人とのハーフ、鄭成功の台湾独立の戦いを描いたもの。
 正岡子規の伝記を弟子の文学者がオーソドックスな人口に膾炙した子規の俳句などを資料にして書いたのに対して、キーンさんは弟子の了承を得て、あまり知られていない資料を基にして『正岡子規』を書いている。弟子の了解を得ると言うのも謙虚である。
 外国人でも日本のことを日本人以上に理解する人がいる。今、そういう人が少しずつ生まれてきている。一昨日、水曜日の「私が日本に住む理由」というBS7午後8時からの一時間番組はいい番組である。福島県の大熊町で農業をしようとするフランス人女性のことを紹介していた。機会があれば、ご覧になってください。その前の「Youは何しに日本へ」も面白い。


        2022.11.12      土曜日

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