藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

ミザリー  1990  米

   

  ミザリー  1990  米  2022.11.15 BSP 午後1:00-2:48
 人気作家の男性が、雪道で事故に遭い、元看護士の女性に命を救われる。彼女は彼の作品の熱狂的なファンだった。やがて女性の言動は狂気を帯び始め、雪深い地で身動きが取れない状況下、彼は追い詰められていく中で、強制的に自作のベストセラー「ミザリー」の続作を書かせられる。


  ノート
 元看護士の女性は「神の啓示」によって殺人を合法化する。ここでも Dei Imago  神の似像 としての白人が描かれている。人は、宗教の絶対者、絶対存在に自己を重ね合わせ、あたかも「現実の自己」が「絶対者、絶対的存在」であるという錯覚に陥ることがある。そこに宗教の危うさがある。信仰は個人の内心の事柄だが、宗教は現実の指導者、絶対者的指導者のいいなりになるかどうかだから、一般人は多くの場合、一定の距離を置くことになる。現実の宗教は多かれ少なかれ、個人崇拝の度合いがある。強いか弱いかだけである。「教会」についても、一方の極に内村鑑三のような「無教会派」=教会のない人の集まりがある。それは「信仰」である。個人の時代には「信仰」が優勢になると思う。


    元看護士を演じたキャシー・ベイツはアカデミー主演女優賞を受賞。


                            2022.11.17  木曜日

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