藪中三十二氏の安全保障戦略
藪中三十二(やぶなか みとじ)氏の安全保障戦略
京都新聞 2022.12.9 夕刊 現代のことば 藪中三十二「一年を振り返って ―外交の
出番」
大要
藪中三十二氏は元外務事務次官、立命館大客員教授。国際関係が専門。
ウクライナへの侵略を目の当たりにして、軍備拡張のドラムが世界中で鳴り響いている。岸田首相は防衛費を5年で43兆円(現在の1.57倍に相当)にするよう、防衛長官と財務長官を官邸に呼び、指示した。藪中氏は、外務大臣が岸田氏の防衛力大幅増額支持の場にいなかったことを外交不在を象徴する出来事に思えたと言う。
ウクライナでは、侵略を防ぐための外交が不在であった。日本を戦争から守る安全保障戦略は(1)日米安保体制を確固としたものにすること(2)一定の防衛力の整備 に加えて(3)平和を維持するための積極的な外交―であると藪中氏は言う。
ノート
藪中三十二氏は良識的な人で、戦争の抑止力の一つとして外交を以前から重視する発言をしている。北朝鮮との関係にしても、安倍元首相の10年間、外交の成果は皆無であった。中国との関係もそうである。敵視して、軍事力を増大して、戦争が防げたらいいが、現実には戦争を呼び込み、戦争をしたがる軍人が戦争を始める。はじめは小競り合いから始まるだろう。
他国民をステレオタイプ化して、憎悪の対象とするのは避けたい。蔑視、憎悪からは悲惨な生命の惨殺しか生まれない。
北朝鮮関係では、ピョンヤン冷麺と青森冷麺の食べ比べができる店を日本全国にチェーン店展開したら、イメージが随分変わると思う。中国関係では、池袋に既に「ガチ中華」店が多数、できていると聞く。文化面で興味を持っていけばいい。
とにかく、政治優位の社会はろくな社会ではない。マスコミ報道の責任は重い。彼らは、結局、ワシントンのマスコミに忖度して、それを基準として報道しているのである。
2022.12.22 木曜日