藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

「デブカリ」  静かなブーム

 

    「デブカリ」  静かなブーム  2022.12.24 土 京都新聞 夕刊  記事
 ホームページに写真が掲載された体重100キロ以上の男女からお気に入りを選ぶ「デブカリ」が静かなブームを呼んでいる。すでに全国の200人以上が登録している。悩みの相談相手から引越しの手伝い、焼きトウモロコシ店の屋台で「店先に立っておいしそうに食べていてほしい」という依頼、地元の観光案内や食べ放題への同伴といったオファーがあるという。
 太っていることにつきまといがちな「怠惰」「不健康」といったイメージを払しょくする狙いもあり、運営会社の代表は「『デブ』を前向きな言葉に変えたい」と意気込んでいる。


   ノート
 近代の産業革命は、大量生産に向かい、均質な製品を大量生産する「均質な人間」が必要とされた。均質な体型、知能、教養、外見がふさわしいものとされ、チビ、デブ、ハゲ、醜顔など、規格外のものは蔑視されることとなった。
 アメリカは建前の「人権」を唱える偽善的な大国で、現実には歯の矯正、場合によっては総入れ歯に変えること、大統領はシークレットシューズを履かずに身長が180cm以上あること等が求められる、現実には多様性が認められない国である。整形手術も当然、非常に発達している。肌の色で人を差別する。口に出しては言わないが。
 このようなアメリカ文化は見た目、目に見える「物質」を重んじる文化で、アメリカはそうした文化を世界にまき散らしている。「デブ」ももちろんターゲットで、嫌われてきた。
 そうした状況で、「デブカリ」は近代、アメリカの均質主義への抵抗、対抗で、こうした文化的抵抗は絶賛に値する。日本文化にはそうした文化がもともとあるのだろう。「村八分」にも「葬式」と「火事」という二分の共同が存在し、全面的排除ではなかった文化である。アメリカや西洋の思考は二項対立的で、敗者復活もない。言い過ぎだろうか。
 日本文化の見直しが求められている。もっとも、「天皇陛下万歳」と短絡的にはならない。「天皇陛下万歳」は天皇が「神」であった時代のことで、天皇が人間宣言してから、人間になってから成立しない。


                            2022.12.27  火曜日

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