藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

同性婚

 

   同性婚
 G7のなかで同性婚を認めないのは日本だけ。マスコミがそう喧伝する。人の振り見て我が振り直せ。空気読む日本人は、同性婚を認めないと国際的にまずいのではと思い始めている。
 妹尾河童 せのかっぱ さんに『少年H』という自伝風小説があり、戦前、戦後の神戸の街を描いていて、面白い作品である。盗作疑惑もあったが、それは置くとして、その小説の中に「男姉ちゃん」が出てくる。男なのに、女装をする人である。みんなからからかわれて生きている。昔からそういう人はいて、みんなのうっぷんのはけ口として、蔑まれてきた。
ピーターや丸山明宏という人たちもそういう人たちで、いつの時代にも「彼ら」、「彼女ら」はいた。
 そういう人たちが、好きな相手と結婚して家庭を持ちたいと思うのは自由であるというのが、「国際社会」の常識となりつつある。
 では、なぜ日本人の中には反対する人がいるのか。憲法24条が「両性の合意」に基づいて、結婚することを認めているという根拠は今や説得力がなく、時代とともに結婚観は変わっていくのであるから、新しい「個人の合意」に基づく結婚を是認したらいいだけの話である。問題は、そうしたら「従来の家族」観の定義が崩れていくからではないか。
 戦前は家父長、男性中心の日本であったが、戦後は男女平等の日本である。少なくとも建前としては、そうである。さらにそれが進むと、人間の平等になり、「血」による差別が問題になり、天皇、天皇制が存亡の危機に陥っていくという危惧感が、反対する人の深層心理にあるのではないか。「伝統」と言ってもいいものとよくないものがある。「伝統」がすべていいものではない。
 天皇の皇位継承についても男女へのこだわりは切実な問題で、「愛子様」が皇位継承するのか、秋篠宮の次男が皇位継承するのか、日本人は人の振り見て我が振り直せという伝統観念で静観しているのではないでしょうか。建前と本音を分けるという「構造」は何ら変わっていないのですが。


                           2023.2.21    火曜日

×

非ログインユーザーとして返信する