藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

シノワズリーとジャポニズム

    シノワズリー  1560年頃      なんと優雅で愛らしい絵であろうか!
   
    シノワズリーとジャポニズム
 東田雅博(2017)『ジャポニズムと近代日本』山川出版社 という面白い本を読んだ。
18世紀後半から19世紀前半にかけて、ジャポニズム=日本趣味が文学ではプルースト、芸術では印象派などに影響を与えた、その前に18世紀の初めごろまでシノワズリー=中国趣味が西洋に影響を与えていたが、ジャポニズムがシノワズリーにとってかわった、もっともシノワズリーとジャポニズムが混在していた時期もある。世界の変化との関係では中国の衰退と日本の隆盛(富国強兵だが)がそれと軌を一にする、それはアヘン戦争から日露戦争までの世界での日本、中国の国力、地位の変化と対応するというような内容である。
 高校の「歴史総合」の授業が始まるのを見据えて、執筆された本である。一部専門家にしかわからない研究状況も批判している。専門の論文は専門の人間にしかわからないような文章で書いているのがほとんどだ。英語で言えば pedantic   衒学的    げんがくてき である。
 西洋の道義性のなさ。帝国主義だから仕方がなかったと言っていていいのだろうか。「歴史総合」も道義性の視点を入れられるかどうかが、成功するかどうかのカギとなるように思う自分のした悪いことについて、認めるということはあまりしないのが人間であり国家だ。アメリカは原爆投下を悪いこととは思っておらず、記念切手まで出して、オバマは原爆投下のフィルムに拍手していたよ。お前らにも一発食らわせてやろうか。そう思う人間もいることだろう。よくないことだが。知らんけど。


                              2023.2.22  水曜日

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