藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

2023.3.28 坂本龍一 死去 から考える日本人の「かっこよさ」

     2023.3.28   坂本龍一 死去 から考える日本人の「かっこよさ」
 坂本龍一と言えば、YMO、(1983)「戦場のメリークリスマス」、「ラストエンペラー」の曲であろう。
 YMOは電子音楽の要素をふんだんに盛り込んで、ヨーロッパでも演奏し、「世界に通用する新しい日本人」を印象付けた。坂本氏は(1983)「戦場のメリークリスマス」で日本軍人を演じ、デビッド・ボーイ演じる欧米人捕虜に対する同性愛的感情を表現し、出演依頼した大島渚監督に音楽もやらせてくださいと自ら志願した(2023.4.3 京都新聞 夕刊)。音楽は「戦場のメリークリスマス」とはなんの関係のない中国的メロディーで、私は駄作だと思う。そう言うと、TikTokでは、無根拠な反発をする者もいる。坂本氏は「かっこいい」のだろう。だから、批判者は許さないといったところだろう。
 「ラストエンペラー」の巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督から「戦メリ」が出品されたカンヌ国際映画祭で急遽、曲作りを指示され、引き受けた。「西洋風のオーケストラの音楽に中国的な要素をふんだんに盛り込んで」作ったサウンドは米アカデミー賞を受賞、「サカモト」の名は世界に知れ渡った(同、記事)。これも中国的メロディーなだけで、パクリの連続とも言える。しかし、これも「世界に通用する日本人」を日本人に印象付けた。
 要するに、世界に通用する「かっこいい」日本人である坂本龍一氏を日本人に印象付けた。
 同じサカモト姓に「坂本龍馬」がいる。坂本龍馬は司馬遼太郎が再評価し、高度成長期に向かう日本人に「日本にもスケールの大きな天下、国家を考えた誇るべき日本人」がいたと、自信を与えた。坂本龍馬は武器商人の側面もあったことが明らかになり、司馬遼太郎の「青雲の志を持った、明るい明治」像も現在では一面的とあまり評価されていない。
 日本人は「かっこいい」ものを評価する。坂本龍一のニックネームは「教授」。現実の教授ではなく、日本人の持つ「かっこいい」「教授」のイメージを投影しているのである。坂本龍一は、確かに見た目もいいし、ニューヨーク在住でかっこいい。それはアメリカ基準、欧米基準で見た「かっこよさ」で、日本人が「一番の」「アメリカ基準」で判断することを如実に表しているのである。そのことを認識するのが大事だと思う。
    坂本氏の環境保護活動は立派。先日、言及した神宮の森再開発にも明確な反対の意思表明をしている。あれくらいの有名人になると、いろいろと忖度して反対声明はしないものである。相手にされていない神戸〇〇大の「教授」センセイなら、気軽に反対するだろうが。
 死者のことを悪く言わないのは日本の文化ですが、「坂本龍一」氏について、日本文化から考えてみたことを書きました。
 謹んで、坂本龍一氏のご冥福をお祈りします。


                             2023.4.11   火曜日

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