藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

漢字の力

   

    漢字の力
 宮尾登美子の小説をテレビドラマにしたものが再放送されていた。造り酒屋の娘の話で、娘は盲目だが、強く生きるように「烈」という名前にしたという内容だった。
 漢字に力があるという考え方は、昔からあり、京都の冷泉通りに「冷」の字が付くのは、火災を封じる意味があると内藤湖南が言っている。
 逆に悪い例では、差別戒名というのがあり、かつて被差別階級の戒名には、「馬」や「牛」の字をつけて、一般人とは区別したということである。ある宗派でそうしたということだが、その宗派は何らかの自己批判はしているのだろうか。
 中国の台湾の高雄 たかお は、元 打狗  タアコウ =犬を打つ、なぐる  という意味であったが、日本植民地時代に地名にはふさわしくないので、音が似ているみやびな 高雄 タカオ に変えたと、高雄に行った時、土地の案内状に書いてあった。石屋があったからその名ができたいう石家荘という名の町が北京の近くにある。西安は西のほうが異民族に攻められることなく、平安であるようにという祈りを込めて付けられた地名である。このように漢字には思いが込められている場合がある。
 漢字のもとは象形文字である。物の形をかたどる漢字が記念したり、褒めたり、呪詛したりすることと関係が深いのは事実であろう。有名な、「道」の漢字は、敵の首をぶら下げて、歩いていく意味だという、白川静氏の漢字呪詛始原説は梅原猛氏が広めることで有名になった。


                            2023.5.16    火曜日

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