藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

諏訪春雄(2023)『日本国誕生の秘密 伊勢・出雲・三輪、その三社の神様の様子』河出書房新社  1

  

            大国主  オオクニヌシ


 諏訪春雄(2023)『日本国誕生の秘密 伊勢・出雲・三輪、その三社の神様の様子』河出書房新社 1
 大国主 オオクニヌシ が関係する国譲りは二つある。第一の国譲りは三輪の国譲りである。大和政権はまず三輪の地を治めるために、大国主に国譲りを迫った。次に、大和政権は国外として出雲の地の統治を目指し、すでに出雲に送り込んでいた大国主に再度の国譲りを迫り、抵抗を受けた。第二の国譲りである。(p.54)
  大国主は本来、大和の中心、三輪の地の先住神であった。大和朝廷が、出雲を統治するために先兵として送り込んだのが大国主であった。出雲にはすでに出雲大神という先住神がいたが、アマテラスの使神スサノオがこの出雲大神を抑え込んで、大国主を後続神として送り込んだのであった。(p.58)
  統治は、神と人の両方の制御によって完成するという古代の信仰によって、『古事記』『日本書紀』の中に重要な役割を帯びて出雲が登場してくるのであり、いずれにしても国内の大和に対する国外が出雲であった。(p.57)


   ノート
 大国主について、明晰な解釈をしている。「神と人の両方の制御によって完成するという古代の信仰」という指摘は重要である。神(信仰)と人(現実の統治)の両面から考えないと、『古事記』『日本書紀』は正確に解釈できないというのが、諏訪春雄氏の考えである。


                         2023.8.10       木曜日

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