藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

諏訪春雄(2023)『日本国誕生の秘密 伊勢・出雲・三輪、その三社の神様の様子』河出書房新社 3

   

  諏訪春雄(2023)『日本国誕生の秘密 伊勢・出雲・三輪、その三社の神様の様子』河出 
   書房新社 3
  ユングの人間タイプ論
 人間は、意識が内に向かう内向型と外に向かう外向型、対象を捉えるときに表面的特色で捉える感覚型と本質で捉える直観型、そして判断する際に論理的に判断する思考型と気持ちで判断する気持ち型に分けられるという。日本人は内向型で感覚型でフィーリング型(気持ち型)である(p.210)。
     日本人は心が状況や環境に埋め込まれていて、その場の他人とともに同じように感得する能力が高いのである。(中略)日本人の心に埋め込まれた状況や環境の最たるものが遍在する神である。日本人は神を共同で感知する能力にすぐれていて、わざわざ「私は神を感じた」という必要がないのである(p.211)。


 西欧語は日本語とは異なる。異質の言語体系の中で組み立てられた学問の理論体系で古代日本語で書かれた古文献を理解しようとしても、真実の事情に到達することはできない。その結果として『古事記』『日本書紀』『風土記』などに記述されている日本国家の誕生と成立をいまだに完全には解明できないのである(p.212)。


     ノート
 西欧の学問体系で日本、東洋の学問を理解しようとしても、もともとの体系が違うのだから解明は独りよがりなものになるという指摘は重要である。
 我々は明治維新以来、西洋の学問体系を必死で学び、それを身につけ、アジアや日本のことをその基準で判断し、価値づけようとしてきた。しかし、それでは統治は神と人の両方の制御によって完成するという古代の信仰の反映(p.57)を理解できない。国内の大和と国外の出雲(同)という考えも理解できないのである。
 こうしたことは中国の「気」の概念にも当てはまり、「気」が存在するかどうかという西欧的な思考ではなく、「気」が存在するものと信じ、その考えのもとに理論構築をした中国の哲学者、例えば南宋の朱子などがいたということが重要なのである。
 勝海舟は大規模な足尾銅山開発には反対で、反対協力要請に会いに来た田中正造にたいして、まったくどうしようもないことを明治政府はやっていると述べている。
 命の危険のある暑さと気象予報士は報道するが、その原因、理由、防止策について、マイカー観光をやめろとは絶対に言わない。CMスポンサーの自動車産業からクレームが入るからである。NHKもそうした報道はしない。東京に子供二人で妻子四人だと、住宅補助が15万円入ってくるエリート御用放送社員は権力の犬以外の何物でもない。だから、作る番組が腑抜けて面白くないこと!


                              2023.8.12  土曜日














                              2023.8.12  土曜日

×

非ログインユーザーとして返信する