藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

モーテン・H・クリスチャンセン ニック・チェイター(2022)『言語はこうして生まれる 「即興する脳」とジェスチャーネーム』新潮社 2


    

 モーテン・H・クリスチャンセン ニック・チェイター(2022)『言語はこうして生まれる 「即興する脳」とジェスチャーネーム』 新潮社 2


 言語が生得的なものでないとすると、個人は言語をどのように学習するのだろうか。
 子供がわずか数年で膨大な数の単語とその使い方を覚え、文法パターンを身につけることができるのは、人間にとって覚えやすいコミュニケーション体系が文化的に築かれていて、コミュニケーションをとる双方の間に文化的な共通基盤があるからだ(p.325)。
  人間の言語に脳がかかわっているのは間違いないが、言語の出現は言語に特化した適応の結果ではなく、すでに進化していた認知全般にかかわるメカニズムに便乗しての副産物だというのが著者たちの見解だ(pp.325-326)。
   AIが言語の面でいまだにお粗末なのは、AIにはジェスチャーゲームをする能力がないからだ(p.326)。


      ノート
  チャットGPTは過去の膨大な情報を要領よくまとめて述べるだけだから、その内容の真偽のほどは定かではない。皮肉にも「AI音声によるニュース」報道はチャットGPTに最も向いている。なぜなら、真偽のほどはわからないが、過去の情報をまとめて、それに新情報を付け加えてさらにまとめて、述べればいいだけのことだからだ。過去の、そして現在の多数の意見、情報に乗ればいいだけのテレビのニース報道のうさん臭さが透けて見えてくる。
 人間が言葉を学ぶのはジェスチャーゲームで「意思の疎通」をしようと努力するからである。
 一方的なテレビ、マスコミのニュース報道はそもそもコミュニケーションでも何でもないのだ。洗脳の儀式にすぎない。


  昨日の答え。  英語では親指と他の指の呼び方が違うため。thumb(親指)   と  finger(その他の指)。日本語の「指」は両方とも同じ「指」である。


                               2023.8.19  土曜日

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