藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

テレサ・テンよ 永遠に !


台北の夜 - テレサ·テン
テレサ・テンよ 永遠に   !
 大陸中国の改革開放が進み、中国人がたくさん留学生として日本にやってきたのは今から35年ぐらい前のことである。出世するのは日本で大学教授になったし、うだつの上がらないのは見切りをつけて、中国に帰っていった。中国語ブームも起きて、夏季短期留学も盛んになり、それを日本人中国語教師が採用した中国人教師に丸投げしたのも今は昔のこと。
 当時、鄧麗君 トンリーチュン ことテレサ・テンが日中両国でブームとなり、大陸中国では一時、テレサの歌が禁止になった。日本でも「つぐない」や「時の流れに身をまかせ」がヒットしたが、それは男に尽くす女のさがを歌うもので、かつての日本人男性の理想女性像へのあこがれの歌だった。それを台湾人のテレサが歌うところに、舶来品、異国趣味の日本人の心をくすぐるものがあり、またテレサが日本語も堪能なこと、容姿端麗によって日本人男性の心に火をつけた。日本人女性もそれを支持した。そういう時代だった。
 テレサはのちに香港民主化運動で積極的にデモに参加し、民主化を支持したが、やがて変死した。
 「台北の夜」はユーチューブを見ていると、見つけたもので、女性の切ない未練心を歌っている。田島陽子氏なら男中心社会の典型の歌と激怒することだろう。
 比較文化的には、日本人のもつはかなさ、切なさを重んじる心性が異国の歌姫に乗り移って歌となったものであろう。日本人の心情を異国の人が歌うのを好むところが日本人にはあるようだ。


   テレサ・テンよ  永遠に       !



                        2023.8.23    水曜日

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