藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

万世一系の天皇

        正親町天皇    おおぎまちてんのう


 万世一系の天皇
「万世一系の天皇」というのは作られた神話で、国学者や明治以後の日本の産物である。江戸時代、京都御所の中には公家の儀式が行われるとき、屋台も出たし、一般庶民は今の時代まつりを見るのと同じような感覚であったと思われる。
 室町時代、織田信長が正親町天皇の権威を利用して天下布布をしこうとしたが、一般人は天皇の存在すら知らなかっただろうというのは加来耕三氏の考えである。
 周作人という人が明治30年代に日本に留学して、天皇が庶民から友愛の気持ちで見られていたのが、軍の厳めしい警護の下に天皇の乗った馬車が東京を行き交うようになったことを残念なことだという趣旨のことをエッセーで述べている。周作人は魯迅の弟で、後に日本傀儡政府下の文部大臣の職に就いたので、「漢奸」かんかん =民族の裏切り者 である。文化大革命のとき、紅衛兵に責められて、不慮の死を遂げている。
 私は御所の近くに住んでいるが、たまに天皇が来ると、交通規制がされるので迷惑なことだと思っている。天皇を乗せた自動車は午後二時ごろ、あまり交通量の多くないときに迷惑にならないように烏丸通りを通るので、国も配慮はしているのだろうが。
 国家の位置づけとしては、京都御苑は天皇の宿泊施設で、国家は日ごろ、恩寵で内部の敷地を自由通行させてやっているという感覚らしい。国家権力とは横柄なものだということを忘れてはいけない。気を付けないと、牙をむいてくる。
 今の上皇は平成新時代に「平和憲法を守る」と言った。立派な政治発言である。マスコミは何の批判もしなかった。摂政という制度があるのに、自らの意思を押し通して、さっさと退位してしまった。私は今でも腑に落ちない。天皇も時代の空気を読んで動いている。





                              2023.8.28  月曜日

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