藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

コウラン伝 終わり

    

      コウラン伝 終わり
 2023.8.28 BS12 午後4-6 放送の コウラン伝全62話が終わった。コウラン は 漢字では皓钄  と書く。皓 は白いという意味。明眸皓歯 めいぼうこうし という言葉がある。钄 は金属元素Laのこと。

 コウランは始皇帝の母で、呂不韋 りょふい という豪商と組んで、子の政を始皇帝にする。始皇帝の父親はコウランの結婚した秦の皇帝ではなく呂不韋だとも言われる。『史記』にも出ている有名な話である。
 全62話は圧巻で、日本のドラマと違うのは、非常に理、理の筋道を重んじることである。政を立派な皇帝にするためにわざと自分を疎むようにする母親のコウランとか、呂不韋がわざと政にとって煙たい存在になるようにするとか、最後に種明かしがあるが、雄大なドラマである。
 儒教倫理に照らして臣下が納得するようにしなければならない皇帝も大変である。子供が幼少だと母親が補佐して実権を握る。まさにコウランはその役を果たしたのだが、わざと政に嫌われるようなことをするのも政を鍛えて明君にするためであった。
 戦国の七雄が統一されて法治国家の秦となる。呂不韋は


 秦王政8年(紀元前239年)には『呂氏春秋』と言う書物を完成させた。これは当時の諸子百家の書物とは違って、思想的には中立で百科事典のような書物である。呂不韋はこの書物の出来栄えを自慢して、市の真ん中にこれを置いて「一字でも減らすか増やすか出来る者には千金を与える」と触れ回ったという(一字千金の由来)。


以呂氏春秋 布咸陽市門 懸千金其上 延諸侯游士賓客 有能增損一字者 予千金
— 『史記』巻八五 呂不韋列伝
                     (秦王~呂不韋列伝  ウィキペディア閲覧)


 中国の歴史は面白い。文化的に見るとさらに面白い。浅田次郎氏などはとりことなり、西太后についての本も書いている。ただ中国についての教養が必須になる。少しずつでも私は中国古典を読み続けている。日本のものも読んで比較すると、非常に面白い。皇帝は権力と権威の二つを持つが、民に善政を敷かなければならない。悪政を敷くと天命でひっくり返される。日本の天皇は権威のみに限定していったので存続したというのが通説である。後醍醐天皇のような例外もあるが。


                                                                                                              2023.9.9     土曜日

×

非ログインユーザーとして返信する