藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

リニューアルの思想

    リニューアルの思想
 10月1日の日曜日に京都駅の近くの崇仁地区に京都市芸大が移転してきたことを記念するセレモニーがあったと京都新聞が伝えている。
 崇仁地区は長い間、特殊住居地帯であったという事情もあり、放っておかれた。官が再利用するのは結構なことである。大体、官有地は辺鄙なところにあり、斎場の近くに官有地があるというのはよくある話である。京都の鳥辺野は比叡平として別荘地となっているが、もともと平安時代には死体遺棄場である。
 穢れ観念は天皇及び天皇の居所からの距離によって決定されてきたという歴史的事実があるが、いつまでもそれにこだわるのは愚策である。新しい時代には新しい観念が必要とされる。新酒は新しい革袋に入れよ。
 仏教だって、平安時代に鎮護国家の宗教だったのが、鎌倉時代になると、修行方法を一点集中した民衆宗教に変化していった。江戸時代には権力と結託して、宗門改めで、戸籍認定権を持ったという黒歴史もあるが。江戸時代の坊さんは威張っていたことだろう。
 今の時代に必要なのは、過去を否定し去ることではなく、過去の忌まわしいことは忘れず、未来に生かし、今までのものをリニューアルすることだと思う。
 「ジャニーさんのことをすべて消し去りたい」という東山紀之はそうしたリニューアルを知らない教養のない日本人である。ロシアの血は混じっているが、日本育ちだから、中身、文化的には日本人である。
 飲水思源。水を飲むときには源を思う。飲水時不忘掘井人。水を飲むときには、井戸を掘った人のことを忘れず。こうした過去の功績のあった人への感謝を忘れないというのは、日本人が中国の思想から得たもので、忘れていいいものではないと思う。田中角栄はロッキード事件後も、中国に行くと井戸掘り人として歓迎された。悪いことではない。
 都合の悪いことがあったら、見えないふりをする。それはアメリカの思想である。ベトナム戦争、イラク侵攻、アフガン侵攻、ウクライナ支援。イスラエル問題。反省することがないから、同じ過ちを繰り返す。金のためなら、命も捨てさせる。誰に。国民に。アメリカは恐ろしい国である。それに気づいて新しい道を模索しよう。


                            2023.10.10   火曜日

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