藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

廃仏毀釈        2024.2.16

     廃仏毀釈  1868年  神仏分離令公布。廃仏毀釈の流れができる。  有名寺院の仏像などが二束三文で売りに出され、寺の庭には、仏像の首が転がる所もあったと言う。  1970年代半ばに廃仏毀釈は収束する。  しかし、祭政一致の理念は続き、1890年の『教育勅語』で民衆は天皇崇敬、国体思想を当たり前と思うようになっていく(p.106)。 中島岳志 島薗進(2016)    ノート  「神道…

高山樗牛  田中智学     2024.2.14

             田中智学       高山樗牛  田中智学  高山樗牛は明治の煩悶青年の先駆けで、1901年に田中智学と面会している(p.86)。  田中智学は1914年に国柱会を作り、法華経と日本の一体化をもくろんだ。田中智学の思想は、社会進化論的で、発展段階論的であった。日蓮教団の拡大→国民の日蓮思想への感化→天皇の日蓮主義への改宗→国立戒壇の建立→日蓮主義国家の誕生という発展段階…

超国家主義       2024.2.12

                   橋川文三    超国家主義   丸山眞男は超国家主義を「極端なナショナリズム」と考えて否定的にとらえたが、橋川文三は超国家主義を「国家を超える主義」としてとらえ、1921年の朝日平吾による財閥安田善次郎暗殺、1931年の石原莞爾による満州事変、1932年の井上日召による血盟団事件、1936年の北一輝による二・二六事件を取りあげて、研究していった(p.82)。…

夏休み  吉田拓郎           2024.2.11

夏休み【吉田拓郎】歌詞付き  夏休み   吉田拓郎  拓郎の歌は時代を反映しているが、  すべてムーディなものである。  岡林信康のような社会性、メッセージ性、自己省察はない。  拓郎の歌は1980年代を代表する歌ではある。  以前のような夏休みがもうないことを  懐かしげに、感慨深く歌う。  もう帰ってこないのだ、あの夏休みは。  それでも待ってる夏休み。                   …

  煩悶青年         2024.2.9

              藤村操        煩悶青年 1880年代以降に生まれた青年は、日本が欧米と肩を並べ始めたころから立身出世に疑問を持ち始める(p.35)。それは明治後半以降のエリート青年の特徴である(p.55)。 1903年(明治33)藤村操の華厳の滝投身自殺はその象徴的事件であろう。  1894年から1906年の日清・日露戦争を経て宗教が個人の内面と深く結びつくようになっていく(…

   ウグイス「嬢」と呼ばないで     2024.2.7

     ウグイス「嬢」と呼ばないで 2024.2.2 金 京都新聞 夕刊 記事  「ウグイス嬢」という言葉は元は、1947年に、東京・後楽園球場で行われた野球大会で女性が初の場内アナウンスをしたときに生まれたとのこと。選挙用語として定着している。昭和40年代までは、「マイク持ちは男の仕事だった」と京都で50年以上選挙にかかわってきた元議員の男性は言う。選挙で名前を連呼したり支援を呼びかけたりす…

  イムジン川        2024.2.6

イムジン河  イムジン川  1968年だったか、  いい歌だと思ったら、発売禁止になった。  この歌の成り立ちには物語があり、  今でも思い出深い。  映画『パッチギ』でも映画の中で演奏されている。  国家というよりも  文化で考える時代は  いつになったら来るのだろうか。  文化は衣、食、住、性、政治文化、音楽、映画と多様である。  その文化の多角的比較、比較文化の中から  新しいものが生まれ…

   蝋梅           2024.2.5

                        蝋 梅  ろうばい   懸物   永日小品』より   夏目漱石  倅は道具屋は廃 よし になさいと云った。老人も道具屋はいかんと云った。二週間ほどしてから、老人はまた桐の箱を抱かかえて出た。そうして倅の課長さんの友達の所へ、紹介を得て見せに行った。その時も鉄砲玉を買って来なかった。倅が帰るや否や、あんな眼の明 あか ない男にどうして譲れるものか、あ…

   流れ者  岡林信康         2024.2.4

岡林信康 流れ者   流れ者  岡林信康    日雇い労働者の悲哀を歌う岡林信康さんのまなざしは哀しくも優しい。  高層ビルも日雇い労働者の人がいなければ建たない。  何人かは建設途中で落下して命を失う。  生命の尊厳というなら、落下事故ゼロで高層ビルを建てたらどうだ。  すでに「生命の尊厳」という言葉が虚しいものになっている。  しかし、  だからこそ、大切にしたい。  岡林信康の  「君に捧…

 がいこつの歌  岡林信康      2024.2.3

Match Highlights | Pakistan v Afghanistan | U19 CWC 2024 がいこつの歌  岡林信康   反骨の歌  最後は真面目に  充実の生を歌う。  岡林信康さんは  『荘子』秋水編の  がいこつの話を読んでいたように思う。                             2024.2.3   土曜日

 江戸時代をどう評価するか       2024.2.2

     江戸時代をどう評価するか  明治時代のはじめ、明治時代を作った人々の自らが打倒した江戸時代への評価は低く、人々はあまり江戸時代について語らなかったが、勝海舟だけは例外で、江戸の悪いところを少し直すぐらいでいいと考えていた。勝海舟は日清戦争にも反対で、日中韓が連合して欧米に当たって行けばいいと考えていた。文明開化とは、西洋基準で物事を考えることであったが、それに掉さす人もいたのである。 …

 1969年  チューリップのアップリケ 岡林信康              2024.2.1

チューリップのアップリケ<岡林信康> 1969年  チューリップのアップリケ 岡林信康  せつない  少女の母への思いを  歌う。  名曲である。 「びんぼう」が悪かった。 今は、何が悪い❓️                           2024.2.1    木曜日

2024.1.19 歌会始の儀  御歌       2024.1.31

  2024.1.19 歌会始の儀     御歌   をちこちの旅路に会へる人びとの笑顔を見れば心和みぬ                                  天皇陛下   広島をはじめて訪ひて平和への深き念ひを吾子は綴れり                                皇后陛下   幾年の難き時代を乗り越えて和歌のことばは我に響きぬ                 …

1968年  山谷ブルース  岡林信康      2024.1.30

山谷ブルース<岡林信康> 1968年  山谷ブルース  岡林信康   自虐的な   自己憐憫的な   どうせ   どうせ   山谷のドヤ住まい   他にやること   ありゃしねぇ   泣いて   泣いてみたって   何になる   今じゃ   山谷がふるさとよ   ビルや道路を作ったのは   山谷のドヤ住まいの労働者。   1968年、   労働者の思想は強かった。   今は、非正規雇用と   低…

罪の共有              2024.1.29

    『進撃の巨人』   エレンとアルミン     罪の共有  罪を犯した者を許さない。人を殺した者は殺されることで報いるしかない。そうした復讐思想が根底にあるので、死刑廃止は現状では難しい。  では、国家に罪を裁く権限があるのかというと、これも腑に落ちない。「官」というのは国家権力の具体的実行機関で、基本には非情な「支配」「権力」の思想がある。「権力」とは「有無を言わせず従わせる力」のことだ…

岡林信康 君に捧げるラブソング 2024.1.28

君に捧げるlove song⭐️岡林信康      作詞・作曲;岡林信康  君に捧げるラブソング 悲しみにうなだれる君を前にして そうさ何もできないでいるのがとてもつらい せめて君のために唄を書きたいけど もどかしい思いは うまく唄にならない いま書きとめたい唄  君に捧げるラブソング 君の傷みの深さはわかるはずもない 何かふたり遠くなる目の前にいるというのに そうさぼくはぼく君になれはしない …