藤田昌志 比較文化のブログ

和・洋・中を比較文化学的に考察する。トピックは音楽、映画、本の紹介、歴史、文学、評論、研究等 多岐にわたる。

  煩悶青年         2024.2.9

              藤村操        煩悶青年 1880年代以降に生まれた青年は、日本が欧米と肩を並べ始めたころから立身出世に疑問を持ち始める(p.35)。それは明治後半以降のエリート青年の特徴である(p.55)。 1903年(明治33)藤村操の華厳の滝投身自殺はその象徴的事件であろう。  1894年から1906年の日清・日露戦争を経て宗教が個人の内面と深く結びつくようになっていく(…

   ウグイス「嬢」と呼ばないで     2024.2.7

     ウグイス「嬢」と呼ばないで 2024.2.2 金 京都新聞 夕刊 記事  「ウグイス嬢」という言葉は元は、1947年に、東京・後楽園球場で行われた野球大会で女性が初の場内アナウンスをしたときに生まれたとのこと。選挙用語として定着している。昭和40年代までは、「マイク持ちは男の仕事だった」と京都で50年以上選挙にかかわってきた元議員の男性は言う。選挙で名前を連呼したり支援を呼びかけたりす…

  イムジン川        2024.2.6

イムジン河  イムジン川  1968年だったか、  いい歌だと思ったら、発売禁止になった。  この歌の成り立ちには物語があり、  今でも思い出深い。  映画『パッチギ』でも映画の中で演奏されている。  国家というよりも  文化で考える時代は  いつになったら来るのだろうか。  文化は衣、食、住、性、政治文化、音楽、映画と多様である。  その文化の多角的比較、比較文化の中から  新しいものが生まれ…

   蝋梅           2024.2.5

                        蝋 梅  ろうばい   懸物   永日小品』より   夏目漱石  倅は道具屋は廃 よし になさいと云った。老人も道具屋はいかんと云った。二週間ほどしてから、老人はまた桐の箱を抱かかえて出た。そうして倅の課長さんの友達の所へ、紹介を得て見せに行った。その時も鉄砲玉を買って来なかった。倅が帰るや否や、あんな眼の明 あか ない男にどうして譲れるものか、あ…

   流れ者  岡林信康         2024.2.4

岡林信康 流れ者   流れ者  岡林信康    日雇い労働者の悲哀を歌う岡林信康さんのまなざしは哀しくも優しい。  高層ビルも日雇い労働者の人がいなければ建たない。  何人かは建設途中で落下して命を失う。  生命の尊厳というなら、落下事故ゼロで高層ビルを建てたらどうだ。  すでに「生命の尊厳」という言葉が虚しいものになっている。  しかし、  だからこそ、大切にしたい。  岡林信康の  「君に捧…

 がいこつの歌  岡林信康      2024.2.3

Match Highlights | Pakistan v Afghanistan | U19 CWC 2024 がいこつの歌  岡林信康   反骨の歌  最後は真面目に  充実の生を歌う。  岡林信康さんは  『荘子』秋水編の  がいこつの話を読んでいたように思う。                             2024.2.3   土曜日

 江戸時代をどう評価するか       2024.2.2

     江戸時代をどう評価するか  明治時代のはじめ、明治時代を作った人々の自らが打倒した江戸時代への評価は低く、人々はあまり江戸時代について語らなかったが、勝海舟だけは例外で、江戸の悪いところを少し直すぐらいでいいと考えていた。勝海舟は日清戦争にも反対で、日中韓が連合して欧米に当たって行けばいいと考えていた。文明開化とは、西洋基準で物事を考えることであったが、それに掉さす人もいたのである。 …

 1969年  チューリップのアップリケ 岡林信康              2024.2.1

チューリップのアップリケ<岡林信康> 1969年  チューリップのアップリケ 岡林信康  せつない  少女の母への思いを  歌う。  名曲である。 「びんぼう」が悪かった。 今は、何が悪い❓️                           2024.2.1    木曜日

2024.1.19 歌会始の儀  御歌       2024.1.31

  2024.1.19 歌会始の儀     御歌   をちこちの旅路に会へる人びとの笑顔を見れば心和みぬ                                  天皇陛下   広島をはじめて訪ひて平和への深き念ひを吾子は綴れり                                皇后陛下   幾年の難き時代を乗り越えて和歌のことばは我に響きぬ                 …

1968年  山谷ブルース  岡林信康      2024.1.30

山谷ブルース<岡林信康> 1968年  山谷ブルース  岡林信康   自虐的な   自己憐憫的な   どうせ   どうせ   山谷のドヤ住まい   他にやること   ありゃしねぇ   泣いて   泣いてみたって   何になる   今じゃ   山谷がふるさとよ   ビルや道路を作ったのは   山谷のドヤ住まいの労働者。   1968年、   労働者の思想は強かった。   今は、非正規雇用と   低…

罪の共有              2024.1.29

    『進撃の巨人』   エレンとアルミン     罪の共有  罪を犯した者を許さない。人を殺した者は殺されることで報いるしかない。そうした復讐思想が根底にあるので、死刑廃止は現状では難しい。  では、国家に罪を裁く権限があるのかというと、これも腑に落ちない。「官」というのは国家権力の具体的実行機関で、基本には非情な「支配」「権力」の思想がある。「権力」とは「有無を言わせず従わせる力」のことだ…

岡林信康 君に捧げるラブソング 2024.1.28

君に捧げるlove song⭐️岡林信康      作詞・作曲;岡林信康  君に捧げるラブソング 悲しみにうなだれる君を前にして そうさ何もできないでいるのがとてもつらい せめて君のために唄を書きたいけど もどかしい思いは うまく唄にならない いま書きとめたい唄  君に捧げるラブソング 君の傷みの深さはわかるはずもない 何かふたり遠くなる目の前にいるというのに そうさぼくはぼく君になれはしない …

第三の価値転換   柴田悠    2024.1.26

               柴田 悠  第三の価値転換   柴田悠 2024.1.4 京都新聞 夕刊 現代のことば  現生人類は約20万年前の誕生以降、生活するために必要なエネルギーを「狩猟採集」で得て、約1万年前から「農耕牧畜」で、更には産業革命以降、「化石燃料」で得てきた。それぞれの段階の末期で、「エネルギー資源の限界」に直面し、そのたびに価値観を抜本的に転換させてきた。  「狩猟採集」の…

 キューピー三分クッキング テーマ曲  2024.1.25

キユーピー3分クッキング オープニング・エンディング「キユーピーとヤサイな仲間たち ステージ」篇 キューピー三分クッキング テーマ曲    キューピーの振りが面白い。   放送開始当初は本当にタイトル通り正味3分の放送時間(5分番組)でしたが、 1969年に10分(正味7分)に延長しました。 番組のコンセプトは晩ごはんのおかずのヒントを提案する「料理の天気予報」番組で、 この姿勢は一貫して変わら…

 モース(1925)『贈与論』から考える「利他」とは? 2024.1.24

           モース(1925)『贈与論』から考える「利他」とは? ピティー pity 哀れみ  による利他的行為は、その対象に対して一種の支配的立場が生まれてしまう。(p.76) cf.志賀直哉「小僧の神様」の貴族議院議員Aの、貧しい小僧に匿名で寿司をたらふく食わせた際に感じた「イヤな気持ち」。ピティーへの違和感。  残酷で支配的なピティーに対して、コンパッション compassion…

 1967年 三波春夫「世界の国からこんにちは」       2024.1.23

三波春夫「世界の国からこんにちは」 [Official Audio] 「世界の国からこんにちは」は、1970年の日本万国博覧会(大阪万博)のテーマソングである。作詞:島田陽子、作曲:中村八大。1967年1月14日に毎日新聞紙上で発表。  1964年  東京オリンピックの次は、万博だ ! 維新は大阪万博の次はIR博打だと! 古いんだよね。発想が。  昭和を出ていない。  もう昭和には戻れないことか…

 分析と総合          2024.1.22

     分析と総合  現在の学問はすべて分析だ。  それが言いすぎなら、  ほとんどが「分析的」だ。  analytic である。  分析に対して、総合がある。  総合的 synthetic は分析を総合する立場だ。  学問は塀を立てて、  己の塀の中を完全なものにしようとする。  実証的に証明しようとする。  理系のそうした手法は  文系にも伝染し、  語学、文学、歴史、哲学と  更にそれを…